しかしやはり二日酔いの波は襲ってきているようで、美術館見学のときは早々と離脱して館内のカフェテリアで休憩していた。重要文化財を前にして、俗物的すぎる自分が情けない。

 旅の最後は、大きな道の駅でショッピングだ。二日酔いからだいぶ回復した私も、はりきって店内を回る。特に誰かにお土産を買う予定がなくても、珍しいものを見て歩くのは楽しい。

 塩見くんの影響からか、食料品のコーナーを吟味する楽しさもわかるようになった。もっとも私の場合は、『これを買っておいしいごはんを作ろう』ではなく、『これでおいしいおつまみを作ってもらおう』だから普通の人とは違うかもしれない。

 地元の名産品の棚を見ていると、目につくものがあった。私でも知っていた、静岡の有名な名物だ。

 今度の金曜日、どんな顔で会ったらいいのかわからないから、お土産を話のタネにするのも、いいかも。

「……よし」

 袋をいくつか手に取り、レジに持って行く。途中で地酒のコーナーも発見したので、日本酒もいくつか購入した。