「ああ、無事でよかった。驚きましたよ、帰宅したら廊下が煙で充満していたから……。いったい、どうしたんです?」
男の子は、私が無事なことを確かめてホッとしたあと、改めて私の全身に視線を移した。そして少し戸惑った顔で、こう尋ねる。
「……日向先輩、ですよね?」
その瞬間、私はこのドアを開けてしまったことを後悔した。
彼が戸惑うのも無理はない。だって、今の私はすっぴん眼鏡、スエット上下にひっつめ髪と、『干物女』と呼ぶにふさわしい格好をしていたのだから――。
知り合いには隠し通しているオフの姿を見られるなんて、穴があったら入りたい。会社での私の姿を知っている人だったら、『うわあ、マジで?』とドン引きするに決まっている。
「そうです、私が日向充希です……」
真っ赤になった顏を隠しながらつぶやくと、彼は「知ってます」とさらっと答えた。
「それで、火事ではないんですね? この煙はどうしたんですか?」
最初は血相を変えていた彼も、だいぶ冷静になったみたいだった。まあ、火事だったらこんなのんきな姿で出てこないし。
男の子は、私が無事なことを確かめてホッとしたあと、改めて私の全身に視線を移した。そして少し戸惑った顔で、こう尋ねる。
「……日向先輩、ですよね?」
その瞬間、私はこのドアを開けてしまったことを後悔した。
彼が戸惑うのも無理はない。だって、今の私はすっぴん眼鏡、スエット上下にひっつめ髪と、『干物女』と呼ぶにふさわしい格好をしていたのだから――。
知り合いには隠し通しているオフの姿を見られるなんて、穴があったら入りたい。会社での私の姿を知っている人だったら、『うわあ、マジで?』とドン引きするに決まっている。
「そうです、私が日向充希です……」
真っ赤になった顏を隠しながらつぶやくと、彼は「知ってます」とさらっと答えた。
「それで、火事ではないんですね? この煙はどうしたんですか?」
最初は血相を変えていた彼も、だいぶ冷静になったみたいだった。まあ、火事だったらこんなのんきな姿で出てこないし。