「んー……、もう、動けない」
久保田の手を振りきって、座布団の上で丸くなる。気持ち悪い。頭ぐらぐらする。このまま動きたくない。
「あ、ちょっと! 先輩、日向先輩? ……寝ちゃったみたい」
寝てないよー、まぶたが動かせないだけで起きてるよー、と言いたいのに、身体が言うことをきかない。
「どうした? 日向先輩、酔い潰れちゃったのか?」
どすどす、という久保田よりも重たい足音が枕元まで近づいてきて、海老沢くんの声が聞こえた。
「そうみたい。ここに横にしておいても大丈夫? ちょうど壁際だし」
「いいよいいよ。だいぶ飲んでたもんなあ。ストレスたまってたんじゃないか? 久保田さん、迷惑かけてるんじゃないの?」
「失礼な! でもこんなに酔った先輩、初めて見たな……。あんなセリフも、初めて聞いたし」
「うん。俺も、仕事も恋愛も完璧な人だと思ってたからびっくりした」
「私も、そんなに悩んでるなんて思ってなかったから……。あ、塩見くん」
今度は、すっすっと畳の上を移動するような上品な足音。そして、耳に優しい落ち着いた声がする。
「日向先輩、つぶれちゃったの? 僕が見てるから、ふたりはむこうで飲んでなよ。僕も営業の先輩の相手するの疲れたから休みたくて」
「そんなこと言っておいて、塩見、日向先輩に手出すつもりじゃないだろうな?」
久保田の手を振りきって、座布団の上で丸くなる。気持ち悪い。頭ぐらぐらする。このまま動きたくない。
「あ、ちょっと! 先輩、日向先輩? ……寝ちゃったみたい」
寝てないよー、まぶたが動かせないだけで起きてるよー、と言いたいのに、身体が言うことをきかない。
「どうした? 日向先輩、酔い潰れちゃったのか?」
どすどす、という久保田よりも重たい足音が枕元まで近づいてきて、海老沢くんの声が聞こえた。
「そうみたい。ここに横にしておいても大丈夫? ちょうど壁際だし」
「いいよいいよ。だいぶ飲んでたもんなあ。ストレスたまってたんじゃないか? 久保田さん、迷惑かけてるんじゃないの?」
「失礼な! でもこんなに酔った先輩、初めて見たな……。あんなセリフも、初めて聞いたし」
「うん。俺も、仕事も恋愛も完璧な人だと思ってたからびっくりした」
「私も、そんなに悩んでるなんて思ってなかったから……。あ、塩見くん」
今度は、すっすっと畳の上を移動するような上品な足音。そして、耳に優しい落ち着いた声がする。
「日向先輩、つぶれちゃったの? 僕が見てるから、ふたりはむこうで飲んでなよ。僕も営業の先輩の相手するの疲れたから休みたくて」
「そんなこと言っておいて、塩見、日向先輩に手出すつもりじゃないだろうな?」