「塩見くんのいるグループとは、離れてますね。全然目も合わせないし、振られちゃったんでしょうか」

 もし塩見くんが、すでにあの子に返事をしていたら。そしてそれが『NO』だったら、そのとき私はどうするんだろう。『YES』だったら、潔く身を引いて、金曜日の約束も解消するのだろうか。

 ああダメだ、考えると頭が痛くなる。

「久保田、早く混ざって飲むわよ。あのグループに混ぜてもらいましょ、一番お酒をキープしてるみたいだし」

 早いところ酔っぱらってしまえば、なにも考えなくてすむ。
 一番盛り上がっている、海老沢くんのいる集団にずんずん歩いていくと、久保田が目を丸くした。

「先輩、そんなに飲み足りなかったんですね……。わかりました、今日は朝まで付き合います!」

 ちょうどいい勘違いをしてくれたので、そのままグループに合流して乾杯する。振られた話に適当に返事をしながら、ぐいぐいビールの缶をあけていく。途中、足りなくなったお酒を久保田が買い出しに行ったようだが、そのあとのことは、よく覚えていない――。