「あ、日向先輩」
飲み物を買いにロビーにある自販機に向かうと、ちょうどむこうも温泉に入ってきたと思われる塩見・海老沢コンビに会った。
「温泉、入ってきたんですか?」
浴衣に羽織姿の塩見くんに尋ねられる。胸元の併せ目から鎖骨が見えて、ドキッとする。旅館の備え付けなのだから当然なのだけど、お揃いの浴衣というのがこう、胸をもやもやさせる。
「う、うん」
塩見くんから目を逸らしつつ返事をする。どうしてもぎこちない態度になりそうだから、このタイミングで会いたくなかったのに。
「顔、赤いですよ。大丈夫ですか?」
「先輩、入りすぎてのぼせちゃったんですよー」
久保田が暴露すると、海老沢くんも「ええっ、大丈夫ですか」と心配してくれた。
「の、のぼせてはいないから。ちょっとあったまりすぎただけ」
「でも本当に真っ赤ですよ。僕、スポーツドリンク買ってきますから、そこに座っていてください」
ロビーにあるソファセットに無理やり座らされ、引き止める前に塩見くんは自販機に走っていく。ひとり掛けのラタンソファに腰を下ろすと、ずしっと身体が重くなった。自分で思っているよりも、のぼせていたようだ。
飲み物を買いにロビーにある自販機に向かうと、ちょうどむこうも温泉に入ってきたと思われる塩見・海老沢コンビに会った。
「温泉、入ってきたんですか?」
浴衣に羽織姿の塩見くんに尋ねられる。胸元の併せ目から鎖骨が見えて、ドキッとする。旅館の備え付けなのだから当然なのだけど、お揃いの浴衣というのがこう、胸をもやもやさせる。
「う、うん」
塩見くんから目を逸らしつつ返事をする。どうしてもぎこちない態度になりそうだから、このタイミングで会いたくなかったのに。
「顔、赤いですよ。大丈夫ですか?」
「先輩、入りすぎてのぼせちゃったんですよー」
久保田が暴露すると、海老沢くんも「ええっ、大丈夫ですか」と心配してくれた。
「の、のぼせてはいないから。ちょっとあったまりすぎただけ」
「でも本当に真っ赤ですよ。僕、スポーツドリンク買ってきますから、そこに座っていてください」
ロビーにあるソファセットに無理やり座らされ、引き止める前に塩見くんは自販機に走っていく。ひとり掛けのラタンソファに腰を下ろすと、ずしっと身体が重くなった。自分で思っているよりも、のぼせていたようだ。