「いや、実はね。塩見、企画部に憧れている先輩がいるって、熱く語ってたんですよー。美人で、かっこよくて、仕事ができる人なんだって」
塩見くん、私のこと、そんなふうに話してくれていたんだ。
目線を隣にやるけれど、気まずいのか、塩見くんはあさっての方向を見ていて私と目を合わせてくれない。
「そうなの。光栄だわ」
憧れだなんて、本人から言われたことなかった。うれしくて、胸がすごく熱い。
「へえー、そうなんだ。だったらこの機会に仲良くなっちゃえばいいじゃないですか。ね、先輩!」
「そ、そうね」
「塩見くん、先輩に連絡先とか聞いておけば?」
なにも知らない久保田がはしゃぐ。実はもうメアドも電話番号も知ってます、なんて知られたらどうなるのだろう。余計なことを言いそうで、口を開けない。
「でも先輩、気をつけてくださいねー。塩見、無害そうな顔して中身はけっこう腹黒いですから!」
いじるような口調で、海老沢くんがとんでもないことを言い出す。
「そんなことないって」
「いや、そんなことあるだろ。憧れの先輩の前だからっていい子ぶらなくていいって。俺が女だったら、塩見の手のひらでころころ転がされてる気がするもん」
塩見くんが、腹黒? 女性を手のひらで転がす?
今まで見てきた塩見くんのイメージとは違って、にわかには信じがたいのだが。
塩見くん、私のこと、そんなふうに話してくれていたんだ。
目線を隣にやるけれど、気まずいのか、塩見くんはあさっての方向を見ていて私と目を合わせてくれない。
「そうなの。光栄だわ」
憧れだなんて、本人から言われたことなかった。うれしくて、胸がすごく熱い。
「へえー、そうなんだ。だったらこの機会に仲良くなっちゃえばいいじゃないですか。ね、先輩!」
「そ、そうね」
「塩見くん、先輩に連絡先とか聞いておけば?」
なにも知らない久保田がはしゃぐ。実はもうメアドも電話番号も知ってます、なんて知られたらどうなるのだろう。余計なことを言いそうで、口を開けない。
「でも先輩、気をつけてくださいねー。塩見、無害そうな顔して中身はけっこう腹黒いですから!」
いじるような口調で、海老沢くんがとんでもないことを言い出す。
「そんなことないって」
「いや、そんなことあるだろ。憧れの先輩の前だからっていい子ぶらなくていいって。俺が女だったら、塩見の手のひらでころころ転がされてる気がするもん」
塩見くんが、腹黒? 女性を手のひらで転がす?
今まで見てきた塩見くんのイメージとは違って、にわかには信じがたいのだが。