スカートにパンプスが標準装備の通勤服とは違って、今日は歩きやすいスニーカーだ。長時間バスに乗っても疲れないよう、コートの中はスキニーパンツとゆったりしたニットだし、髪も毛先だけ巻いて、ひとつにまとめてある。
「メイクの感じもいつもと違いますよね」
「服装がカジュアルだから、いつもよりナチュラルメイクなの」
「そうなんですか。いつもの先輩もかわいいですけど、今日みたいな雰囲気も僕は好きですね」
塩見くんは最近、『かわいい』という褒め言葉を躊躇なく使うようになってきている。
「ありがと。男の人ってナチュラルメイクとかカジュアルな格好のほうが好きよね」
しかし、ドキドキしながらも年上女性らしい返しができるようになったぶん、私も成長しているのではないだろうか。
「そうかもしれません。ああでも、すっぴんもかわいいと思いますよ、もちろん」
「……っ」
爽やかな笑顔と共に付け足されたセリフに、返す言葉もない。うまくかわせるようになったと思ったとたんに、この敗北感だ。本当に塩見くんは油断ならない。
「メイクの感じもいつもと違いますよね」
「服装がカジュアルだから、いつもよりナチュラルメイクなの」
「そうなんですか。いつもの先輩もかわいいですけど、今日みたいな雰囲気も僕は好きですね」
塩見くんは最近、『かわいい』という褒め言葉を躊躇なく使うようになってきている。
「ありがと。男の人ってナチュラルメイクとかカジュアルな格好のほうが好きよね」
しかし、ドキドキしながらも年上女性らしい返しができるようになったぶん、私も成長しているのではないだろうか。
「そうかもしれません。ああでも、すっぴんもかわいいと思いますよ、もちろん」
「……っ」
爽やかな笑顔と共に付け足されたセリフに、返す言葉もない。うまくかわせるようになったと思ったとたんに、この敗北感だ。本当に塩見くんは油断ならない。