* * *
「日向先輩、おはようございます」
「あ、塩見くん。おはよう」
社員旅行当日の朝。アパートのドアを開けると、ちょうど同じタイミングで家を出た塩見くんと遭遇した。
「せっかくだし、集合場所まで一緒に行きましょうか」
「そうね」
ガラガラとカートを引きながら、ふたりで駅までの道を歩く。塩見くんはジーンズにスニーカー、ネイビーのニットにキャメルのコートをあわせている。カジュアルだけど上品な、塩見くんらしいファッションだ。
休日に、いつもとは違う服装で塩見くんに会うのは、なんだか妙な気分。ふたりで歩いていると、これから旅行に行くカップルに見えたりしないだろうか、と変な気を回してしまう。知らない人にそう見られたとしても、なんの支障もないのだが。
「先輩、服装がいつもの雰囲気と違うから、なんだか照れますね」
「え、そ、そう?」
私が考えていたことを塩見くんが言葉にするものだから、カートにつまづきそうになる。
「はい。カジュアルな服装だと、余計に若く見えますね」
「それは、ありがとう……」
「日向先輩、おはようございます」
「あ、塩見くん。おはよう」
社員旅行当日の朝。アパートのドアを開けると、ちょうど同じタイミングで家を出た塩見くんと遭遇した。
「せっかくだし、集合場所まで一緒に行きましょうか」
「そうね」
ガラガラとカートを引きながら、ふたりで駅までの道を歩く。塩見くんはジーンズにスニーカー、ネイビーのニットにキャメルのコートをあわせている。カジュアルだけど上品な、塩見くんらしいファッションだ。
休日に、いつもとは違う服装で塩見くんに会うのは、なんだか妙な気分。ふたりで歩いていると、これから旅行に行くカップルに見えたりしないだろうか、と変な気を回してしまう。知らない人にそう見られたとしても、なんの支障もないのだが。
「先輩、服装がいつもの雰囲気と違うから、なんだか照れますね」
「え、そ、そう?」
私が考えていたことを塩見くんが言葉にするものだから、カートにつまづきそうになる。
「はい。カジュアルな服装だと、余計に若く見えますね」
「それは、ありがとう……」