塩見くんの優しさって、女性らしい細やかさだと思っていたけど、違ったんだ。ぶれない男らしさがあるから、だれにでも優しくできるんだ。
「先輩? どうしたんですか?」
「……ううん、なんでもない」
女だからと舐められないように仕事をしてきたのに、無条件に助けてもらえることがこんなにうれしいだなんて。塩見くんの横顔が、いつもより頼もしく見える。
「そういえば、社員旅行の話、聞きました? 今年は営業部と企画部が合同みたいですよ」
資料室の扉を押さえてもらいながら、私も今日知ったばかりの情報を塩見くんの口から聞く。
「ああ、うん。楽しみね」
「地酒もおいしいみたいですよ。先輩、飲みすぎないように気をつけてくださいね」
「わかってるわよ。職場の旅行なんだから、そこまで羽目は外しません」
上司がいる宴会なんだから、お酌に気を取られて自分が酔うまでいかないだろう。
そうやって油断しているときにこそ、お酒の失敗はやってくるものだって、このときの私はすっかり忘れていた。
「先輩? どうしたんですか?」
「……ううん、なんでもない」
女だからと舐められないように仕事をしてきたのに、無条件に助けてもらえることがこんなにうれしいだなんて。塩見くんの横顔が、いつもより頼もしく見える。
「そういえば、社員旅行の話、聞きました? 今年は営業部と企画部が合同みたいですよ」
資料室の扉を押さえてもらいながら、私も今日知ったばかりの情報を塩見くんの口から聞く。
「ああ、うん。楽しみね」
「地酒もおいしいみたいですよ。先輩、飲みすぎないように気をつけてくださいね」
「わかってるわよ。職場の旅行なんだから、そこまで羽目は外しません」
上司がいる宴会なんだから、お酌に気を取られて自分が酔うまでいかないだろう。
そうやって油断しているときにこそ、お酒の失敗はやってくるものだって、このときの私はすっかり忘れていた。