「そうそう、今年のグループ分けは、営業部と一緒になったみたいですよ。あそこはメンズ多いから潤いますね~!」

 きらきらと瞳を輝かせた久保田の言葉に、口が「え」の形で固まった。

 営業部と合同。その可能性だってあるはずなのに、失念していた。旅館で宴会もあるだろうし、お風呂あがりの浴衣姿を、見たり見られたりする可能性があるということも。

 ……いや、同じアパートの隣の部屋に住んでいて、今さらなにを恥ずかしがっているのだ。すっぴんだって見せているのに。

「なに着て行こうかな~。あとでコーディネートの相談、乗ってくださいね!」
「あ、うん。もちろん。私もお願い……」

 社員旅行がこんなに楽しみなことも、少しだけ不安なことも初めてで、自分の気持ちに戸惑う。そしてその気持ちの中心に、塩見くんがいることも。

 顔は合わせないにしても毎日同じ会社に出勤して、週に一度は会っているのに、どうして社員旅行は『特別』だと感じるんだろう。

 大昔、初めて彼氏と旅行に行ったときも同じような気持ちになった気がするけれど、今ではもう、それがどんな理由だったか思い出せなくなっていた。