こんなとき、男として生まれていればもっと楽だったのかなあ、なんて思ってしまう。歳を取ってあんなふうになるのだけは、絶対に嫌だけど。

 仕方ない、コンビニでビールとホットスナックでも買って帰ろう。

「なんで、ホットスナックも売り切れなのよ……」

 家から一番近いコンビニに寄ってみると、おつまみになりそうな唐揚げやフランクフルトは総じて品切れだった。頼みの綱が切れて、思わず小声でぼやいてしまう。

 ここはお惣菜で妥協するべきか。ポテトサラダ、冷凍餃子。ビールのつまみになりそうなものは揃っている。

 でもなぁ……。大将の手間暇かけたおつまみに慣れた身としては、人のぬくもりが感じられないおつまみは物足りないというか、さびしいというか。

 カゴにビール缶を入れたままうろうろしていると、油揚げのパックが目に入った。

 そうだ、確か、油揚げを焼くだけでもおつまみになるって、テレビで見た。
 焼くだけって言っても、いちおう自分で手間をかけるわけだし、レンジでチンよりはむなしい気分にならないはず!

 これは名案を思い付いたぞ~と、少しテンションの上がった弾んだ足取りで、私は帰路についた。