今日は体育祭の日だ。体育祭を楽しみにしていた人もいれば、そうでない人もいるだろう。
俺はどちらかというと、どちらでもない。あ、体育祭がきたなぁくらいにしか思っていない。
ただし今年は少しやる気がある。というのも、先日部活を引退した際にとある女子から告白をされ、
付き合うことになったからだ。彼女の前でかっこ悪いところを見せたくない、という気持ちが俺にやる気を出させた。
体育祭は順調に進んでいく。そして俺の出番である、クラス対抗の全員リレーという競技の番がやってきた。
どんな競技かというと、クラス全員でリレーをするのだ。ルールはそれだけである。
至極簡単な競技ではあるが、クラスの団結力が試される場所でもあるわけで、みんなやる気になっている。
そうこうしているうちにリレーがはじまった。俺はクラスで12番目という良くも悪くもない位置でバトンを受け取って走る。
クラスのみんなが前線している。全部で6クラスあるうち、2位か3位という位置で走っている。
よしよし、このままいけば俺の番のときに1位にしてやるぞ、なんて思いながら待っていると俺の番がやってきた。
前の人からバトンを受け取り、俺は走り出す。ちなみに俺の足は早くもないし、遅くもない。普通といったところだ。
だが元々バスケ部に所属していたため短距離を走ることは慣れているので、走り方は悪くないはずだ。
クラス対抗リレーというだけあって観客が多い。というか走るところを色んな人が囲んでいるという状態だ。
その人ごみの中に、俺の彼女であるはるの姿が見えた。すごく必死に応援をしている。誰の応援だ?なんて思うが
まぁここは俺の応援だとうぬぼれてもいいだろう。彼氏なんだし。
そうやって走りながら他に気を取られていたらここで事故が起きた。というかつまり転んだ。
走っているのに前を向いていなかったんだから転ぶのも当たり前である。そんなことを考える間もなく俺は
あっという間に他のクラスのみんなに抜かれていく。
起き上がろうとしたとき、左足に異変を感じた。すごく痛む。そして立つこともできず、左足を抱えてうずくまってしまった。
それを見た体育祭の実行委員たちが慌てて俺のもとへとやってこようとしている。
よしよし、助けてくれよ、なんて思いながら待っていると思わぬところから声がかかった。
観客がたくさんいるところの中から「亮介!」という声が聞こえる。なんだ?と思っていると
はるが俺のそばまでやってきた。どうやら声の張本人らしい。
おいおい、体育祭の最中だぞ、競技に参加しない生徒が出てきちゃダメだろ、とか色々と思うことはあったが、
はるがすごく心配そうな顔で俺を見ている。その顔を見て俺は何も言えなくなってしまった。
そんなこんなで体育祭の実行委員も俺の元へとやってきて、「大丈夫ですか?」と聞いてくる。
「大丈夫だったらこうやってうずくまったりしないっつーの」なんて軽口を叩きながらも実行委員に支えられながら
フィールドの外に出る。その間、はるは心配して俺のそばから離れなかった。
そしてフィールドの外に出ると「とりあえず座ってください」と実行委員が言う。
言われた通り地面に座ると、足の様子を実行委員が見ている。しかし体育祭の実行委員なだけであって医療のプロではない。
なのでわからないな、というような顔をしている。保健の先生でも連れてきてくれたら、と思っていたら
保健の先生がやってきた。そして俺の足を見るなり、先生が
「多分だけど折れたりはしてないと思うよ。単純に捻挫じゃないかな」と言った。
それを聞いた実行委員は「捻挫だってケガなんですからね。甘く見てはいけませんよ」と俺に言ってきた。
まぁそうだよなぁと思っていると近くにいたはるが「あの、私で良ければテーピングしましょうか?」と言ってきた。
驚いた保健の先生が「え?テーピングなんてできるの?私がやるよ?」とはるに言っている。
するとはるは「はい、まぁ部活でたくさんやってきているので。このあと体育祭に参加するのは無理でしょうけど、
歩くくらいの固定ならできると思います」と言った。
確かに今の足じゃ歩くのも難しい。となるとここに座り続けてなければいけないが、それも邪魔だろう。
そもそもどうやって帰るんだよ、なんて考えていると保健の先生が口を開く。
「確かに捻挫ならテーピングで固めるのが一番だとは思うわ。安全とは言えないけど・・・。」と言ってきた。
まぁそうだよなぁと思いながらもこんないい案を俺がやめてくれと言うわけにもいかないな、と思い
「ぜひお願いします」と伝えた。保健の先生がテーピングしてくれるのと、彼女であるはるからテーピングされるのだったら
ここは彼女に甘えてしまおう。
そしてテーピングキットの一式を保健室から先生が持ってきて、はるがテーピングをしてくれることになった。
さすがに部活でさんざんやっているだけあって手慣れたものであり、するすると俺の足がテーピングされていく。
俺ははるに「ごめんな、かっこ悪いところを見せて」と言った。
するとはるは「かっこ悪いなんて考えなくていいからね。今は甘えてね」と言ってきた。
そうこうしているうちにテーピングが終わった。俺はおそるおそる立ち上がってみることにした。
そーっと左足をついてみる。なるほど、痛くない。これなら歩くくらいはできそうだな、と思っていると
はるがほっとした顔でこっちを見ていた。なので
「心配かけてごめん。これでとりあえずは大丈夫そうだよ」と言った。
そして俺の治療が終わり、みんな自分のクラスへと帰っていった。
俺の体の具合など関係なく体育祭は続いていく。幸いなことに俺はこのあとほとんど競技に参加する予定がなかったので、
おとなしく座りながら体育祭の様子を見ていた。
とその時、アナウンスが聞こえてきた。「これから100メートル走を行います。参加者は集まってください」
そこで俺は「あれ?100メートル走って俺参加するんじゃなかったっけ?」と思っていると俺のクラスの体育祭実行委員が
「100メートル走だってさ。でもその足じゃ無理だよね?」と俺に聞いてきた。
あ、やっぱり俺が参加するんだったんだ、と思いながらも自分の足の様子を見た。
さきほどはるがしてくれたテーピングのおかげで歩くことはできるようになった。しかし100メートルは・・・と
思いながらももう一つの考えが頭をよぎる。
「クラス対抗リレーでクラス全員に迷惑をかけたのに、まだ迷惑をかけるの?」
「はるに無様なところしか見せてないのに、このまま体育祭が終わっていいの?」
そんなことを考えてしまって俺はクラスの実行委員に「いや、出れるよ」と言ってしまった。
実行委員は「本当に?大丈夫なの?」と聞いてきたが俺は「思ったより痛くないし、いけるいける」と言った。
本人がそう言うなら、と実行委員が折れてくれて、俺は100メートル走に参加することになった。
「さっきあんなにかっこ悪いところを見せてしまったしクラスにも迷惑をかけたんだから、次こそ決めてやる」と心に誓った。
そして俺の番がやってくる。「位置について・・・よーい!どん!」という声で一斉に走り出す。
俺も最初は走れたのだが、数歩いった時点で左足に違和感を覚えた。足が痛む。でもかっこ悪いところは見せたくない!
そんな気持ちで必死に走ろうとするが、30メートルほど行った時点でまた足を抱えて座り込んでしまった。
また体育祭実行委員たちが慌てて俺のところにやってくる。そして「大丈夫ですか?」と聞いてくる。
そしてまた実行委員に抱えられながらフィールドの外に出た。そこで座り込んでいると保健の先生とはるがやってきた。
保健の先生が「おバカ!捻挫してるんだから100メートルなんて走れるわけないじゃない!」と言ってきた。
そりゃそうだよなぁ・・・と思っていると保健の先生の後ろに目に涙をためたはるの姿が見えた。
はるが「私がしたテーピングは、応急処置に過ぎないんだよ。なんで無理するの」と泣きながら言ってきた。
俺は正直に「ごめん。クラスの皆に迷惑をかけたくなかったのと、はるにかっこいいところを見せたくて」と言った。
するとそれを聞いた保健の先生が
「無理をしたら余計にクラスに迷惑がかかるじゃないの。体育祭の結果だけで見たらあなたはビリなのよ」と言ってきた。
それに続いてはるが
「私にかっこいいところを見せたいだなんて考えないでいいの!無理される方がかっこ悪いんだから!」と言った。
保健の先生がはるを見て「あなたがはるって言うのね。あなたのために無理したみたいよ」と言っている。
さっきの二人の言葉やそのやり取りが胸に刺さる。なんて愚かなことをしたんだろうとすごく反省した。
そして「ごめんなさい。もう無理はしません。というか、このあとの競技には一切出ません」と言った。
そんなこんなをしているうちに体育祭は終わった。クラスには迷惑をかけたし、彼女にはいいところを見せれなかっな、
と思っているとクラスの体育祭実行委員が俺に向かって「今日は災難だったね。足は大丈夫?」と聞いてきた。
俺は「大丈夫ではないけど・・・これからゆっくり治すよ。今日は迷惑かけてごめん」と言った。
すると実行委員は「迷惑だなんてとんでもないよ。ケガは誰だってするものなんだから。ゆっくり治してね」と言ってきた。
その言葉に少し助けられた気分になりながら、帰ろうとすると正門の前にはるがいた。
どうしたのかな?と思っていると「亮介!待ってたんだよ、一緒に帰ろう!」と言ってきた。
足をケガした俺のことを心配してくれてるんだな、と思いながら一緒に帰ることになった。
帰り道、歩きながら俺ははるに「今日はごめんね。かっこ悪いところばっかり見せて」と謝った。
するとはるは「そうだよ!」と言ってきた。そりゃそうだよな、かっこ悪いよなぁなんて思っていると
「ケガしているのに無理するなんてかっこ悪いよ!もうしないでね!」と言ってきた。
え?ケガしたことがかっこ悪いってことじゃないの?と思いながらも俺は「はい、わかりました」と弱く言うしかなかった。
するとはるが続けて「亮介のかっこいいところなんて今まで部活で散々見てきたんだから!おなか一杯だよ!」と言った。
そんなことを言ってくれるなんていい彼女だな、なんて思いが俺の心を満たした。
さらにはるが「彼女なんだから、これからも見る機会はたくさんあるよ!かっこいいところ、見せてね?」と言ってきた。
その言葉を聞いて俺は一つ思いついたことがあり、はるに言ってみることにした。
「わかったよ。かっこいいところをこれからは見せていくよ。俺の足が治ったら、テーマパークでデートしない?」
はるはちょっと驚いた顔をしてこっちを見て、俺に
「うん、ぜひぜひ。あ、でも足は完全に治してからにしてね」と意地悪そうに言ってきた。
俺は「わかってるよ。かっこいいところ見せないとね」と伝えた。俺とはるは、ひょんなことからテーマパークでの
デートの約束をすることになり、帰路についた。
俺はどちらかというと、どちらでもない。あ、体育祭がきたなぁくらいにしか思っていない。
ただし今年は少しやる気がある。というのも、先日部活を引退した際にとある女子から告白をされ、
付き合うことになったからだ。彼女の前でかっこ悪いところを見せたくない、という気持ちが俺にやる気を出させた。
体育祭は順調に進んでいく。そして俺の出番である、クラス対抗の全員リレーという競技の番がやってきた。
どんな競技かというと、クラス全員でリレーをするのだ。ルールはそれだけである。
至極簡単な競技ではあるが、クラスの団結力が試される場所でもあるわけで、みんなやる気になっている。
そうこうしているうちにリレーがはじまった。俺はクラスで12番目という良くも悪くもない位置でバトンを受け取って走る。
クラスのみんなが前線している。全部で6クラスあるうち、2位か3位という位置で走っている。
よしよし、このままいけば俺の番のときに1位にしてやるぞ、なんて思いながら待っていると俺の番がやってきた。
前の人からバトンを受け取り、俺は走り出す。ちなみに俺の足は早くもないし、遅くもない。普通といったところだ。
だが元々バスケ部に所属していたため短距離を走ることは慣れているので、走り方は悪くないはずだ。
クラス対抗リレーというだけあって観客が多い。というか走るところを色んな人が囲んでいるという状態だ。
その人ごみの中に、俺の彼女であるはるの姿が見えた。すごく必死に応援をしている。誰の応援だ?なんて思うが
まぁここは俺の応援だとうぬぼれてもいいだろう。彼氏なんだし。
そうやって走りながら他に気を取られていたらここで事故が起きた。というかつまり転んだ。
走っているのに前を向いていなかったんだから転ぶのも当たり前である。そんなことを考える間もなく俺は
あっという間に他のクラスのみんなに抜かれていく。
起き上がろうとしたとき、左足に異変を感じた。すごく痛む。そして立つこともできず、左足を抱えてうずくまってしまった。
それを見た体育祭の実行委員たちが慌てて俺のもとへとやってこようとしている。
よしよし、助けてくれよ、なんて思いながら待っていると思わぬところから声がかかった。
観客がたくさんいるところの中から「亮介!」という声が聞こえる。なんだ?と思っていると
はるが俺のそばまでやってきた。どうやら声の張本人らしい。
おいおい、体育祭の最中だぞ、競技に参加しない生徒が出てきちゃダメだろ、とか色々と思うことはあったが、
はるがすごく心配そうな顔で俺を見ている。その顔を見て俺は何も言えなくなってしまった。
そんなこんなで体育祭の実行委員も俺の元へとやってきて、「大丈夫ですか?」と聞いてくる。
「大丈夫だったらこうやってうずくまったりしないっつーの」なんて軽口を叩きながらも実行委員に支えられながら
フィールドの外に出る。その間、はるは心配して俺のそばから離れなかった。
そしてフィールドの外に出ると「とりあえず座ってください」と実行委員が言う。
言われた通り地面に座ると、足の様子を実行委員が見ている。しかし体育祭の実行委員なだけであって医療のプロではない。
なのでわからないな、というような顔をしている。保健の先生でも連れてきてくれたら、と思っていたら
保健の先生がやってきた。そして俺の足を見るなり、先生が
「多分だけど折れたりはしてないと思うよ。単純に捻挫じゃないかな」と言った。
それを聞いた実行委員は「捻挫だってケガなんですからね。甘く見てはいけませんよ」と俺に言ってきた。
まぁそうだよなぁと思っていると近くにいたはるが「あの、私で良ければテーピングしましょうか?」と言ってきた。
驚いた保健の先生が「え?テーピングなんてできるの?私がやるよ?」とはるに言っている。
するとはるは「はい、まぁ部活でたくさんやってきているので。このあと体育祭に参加するのは無理でしょうけど、
歩くくらいの固定ならできると思います」と言った。
確かに今の足じゃ歩くのも難しい。となるとここに座り続けてなければいけないが、それも邪魔だろう。
そもそもどうやって帰るんだよ、なんて考えていると保健の先生が口を開く。
「確かに捻挫ならテーピングで固めるのが一番だとは思うわ。安全とは言えないけど・・・。」と言ってきた。
まぁそうだよなぁと思いながらもこんないい案を俺がやめてくれと言うわけにもいかないな、と思い
「ぜひお願いします」と伝えた。保健の先生がテーピングしてくれるのと、彼女であるはるからテーピングされるのだったら
ここは彼女に甘えてしまおう。
そしてテーピングキットの一式を保健室から先生が持ってきて、はるがテーピングをしてくれることになった。
さすがに部活でさんざんやっているだけあって手慣れたものであり、するすると俺の足がテーピングされていく。
俺ははるに「ごめんな、かっこ悪いところを見せて」と言った。
するとはるは「かっこ悪いなんて考えなくていいからね。今は甘えてね」と言ってきた。
そうこうしているうちにテーピングが終わった。俺はおそるおそる立ち上がってみることにした。
そーっと左足をついてみる。なるほど、痛くない。これなら歩くくらいはできそうだな、と思っていると
はるがほっとした顔でこっちを見ていた。なので
「心配かけてごめん。これでとりあえずは大丈夫そうだよ」と言った。
そして俺の治療が終わり、みんな自分のクラスへと帰っていった。
俺の体の具合など関係なく体育祭は続いていく。幸いなことに俺はこのあとほとんど競技に参加する予定がなかったので、
おとなしく座りながら体育祭の様子を見ていた。
とその時、アナウンスが聞こえてきた。「これから100メートル走を行います。参加者は集まってください」
そこで俺は「あれ?100メートル走って俺参加するんじゃなかったっけ?」と思っていると俺のクラスの体育祭実行委員が
「100メートル走だってさ。でもその足じゃ無理だよね?」と俺に聞いてきた。
あ、やっぱり俺が参加するんだったんだ、と思いながらも自分の足の様子を見た。
さきほどはるがしてくれたテーピングのおかげで歩くことはできるようになった。しかし100メートルは・・・と
思いながらももう一つの考えが頭をよぎる。
「クラス対抗リレーでクラス全員に迷惑をかけたのに、まだ迷惑をかけるの?」
「はるに無様なところしか見せてないのに、このまま体育祭が終わっていいの?」
そんなことを考えてしまって俺はクラスの実行委員に「いや、出れるよ」と言ってしまった。
実行委員は「本当に?大丈夫なの?」と聞いてきたが俺は「思ったより痛くないし、いけるいける」と言った。
本人がそう言うなら、と実行委員が折れてくれて、俺は100メートル走に参加することになった。
「さっきあんなにかっこ悪いところを見せてしまったしクラスにも迷惑をかけたんだから、次こそ決めてやる」と心に誓った。
そして俺の番がやってくる。「位置について・・・よーい!どん!」という声で一斉に走り出す。
俺も最初は走れたのだが、数歩いった時点で左足に違和感を覚えた。足が痛む。でもかっこ悪いところは見せたくない!
そんな気持ちで必死に走ろうとするが、30メートルほど行った時点でまた足を抱えて座り込んでしまった。
また体育祭実行委員たちが慌てて俺のところにやってくる。そして「大丈夫ですか?」と聞いてくる。
そしてまた実行委員に抱えられながらフィールドの外に出た。そこで座り込んでいると保健の先生とはるがやってきた。
保健の先生が「おバカ!捻挫してるんだから100メートルなんて走れるわけないじゃない!」と言ってきた。
そりゃそうだよなぁ・・・と思っていると保健の先生の後ろに目に涙をためたはるの姿が見えた。
はるが「私がしたテーピングは、応急処置に過ぎないんだよ。なんで無理するの」と泣きながら言ってきた。
俺は正直に「ごめん。クラスの皆に迷惑をかけたくなかったのと、はるにかっこいいところを見せたくて」と言った。
するとそれを聞いた保健の先生が
「無理をしたら余計にクラスに迷惑がかかるじゃないの。体育祭の結果だけで見たらあなたはビリなのよ」と言ってきた。
それに続いてはるが
「私にかっこいいところを見せたいだなんて考えないでいいの!無理される方がかっこ悪いんだから!」と言った。
保健の先生がはるを見て「あなたがはるって言うのね。あなたのために無理したみたいよ」と言っている。
さっきの二人の言葉やそのやり取りが胸に刺さる。なんて愚かなことをしたんだろうとすごく反省した。
そして「ごめんなさい。もう無理はしません。というか、このあとの競技には一切出ません」と言った。
そんなこんなをしているうちに体育祭は終わった。クラスには迷惑をかけたし、彼女にはいいところを見せれなかっな、
と思っているとクラスの体育祭実行委員が俺に向かって「今日は災難だったね。足は大丈夫?」と聞いてきた。
俺は「大丈夫ではないけど・・・これからゆっくり治すよ。今日は迷惑かけてごめん」と言った。
すると実行委員は「迷惑だなんてとんでもないよ。ケガは誰だってするものなんだから。ゆっくり治してね」と言ってきた。
その言葉に少し助けられた気分になりながら、帰ろうとすると正門の前にはるがいた。
どうしたのかな?と思っていると「亮介!待ってたんだよ、一緒に帰ろう!」と言ってきた。
足をケガした俺のことを心配してくれてるんだな、と思いながら一緒に帰ることになった。
帰り道、歩きながら俺ははるに「今日はごめんね。かっこ悪いところばっかり見せて」と謝った。
するとはるは「そうだよ!」と言ってきた。そりゃそうだよな、かっこ悪いよなぁなんて思っていると
「ケガしているのに無理するなんてかっこ悪いよ!もうしないでね!」と言ってきた。
え?ケガしたことがかっこ悪いってことじゃないの?と思いながらも俺は「はい、わかりました」と弱く言うしかなかった。
するとはるが続けて「亮介のかっこいいところなんて今まで部活で散々見てきたんだから!おなか一杯だよ!」と言った。
そんなことを言ってくれるなんていい彼女だな、なんて思いが俺の心を満たした。
さらにはるが「彼女なんだから、これからも見る機会はたくさんあるよ!かっこいいところ、見せてね?」と言ってきた。
その言葉を聞いて俺は一つ思いついたことがあり、はるに言ってみることにした。
「わかったよ。かっこいいところをこれからは見せていくよ。俺の足が治ったら、テーマパークでデートしない?」
はるはちょっと驚いた顔をしてこっちを見て、俺に
「うん、ぜひぜひ。あ、でも足は完全に治してからにしてね」と意地悪そうに言ってきた。
俺は「わかってるよ。かっこいいところ見せないとね」と伝えた。俺とはるは、ひょんなことからテーマパークでの
デートの約束をすることになり、帰路についた。