部活引退から一週間後のことだ。担任と進路についての面談があった。ここで格好をつけても仕方がないので素直に「どうしようか
悩んでいます」と伝えた。すると担任は「お前の学力なら大学も十分狙えるだろう。というか、指定校推薦も狙えると思うぞ」と
言ってきた。指定校推薦であれば大学受験をする必要はなくなる。だが学校に推薦が来た大学にしか行けないんだよな、と思った。
だが正直に言って大学のことはわからなかった。すごく学力があるわけでもないので超有名大学や国立の大学に行くことは
できないだろう。と言ってどんな大学があるか、と言うのを自分で調べる気にはならなかった。なんせ大学に行くかどうかを
悩んでいるレベルなのだから。とりあえずその場は保留にしようかと思っていると「中井、お前の好きな科目って国語だよな?」と
言われた。なので素直にはいと答えると「文系の大学はたくさんあるが、国語となると絞られてくる。最終的な判断はお前に
任せるが、指定校推薦の締め切りもあるから早めに決めてくれよ」と言われた。そこで家に帰り少し考えてみることにした。
俺は確かに国語が好きだ。現文や古文の先生からは「国語だけなら早稲田や慶応も狙えるかも」なんて言われている。だからと
言って早稲田を目指すぞ!という気にはなれない。有名大学に行くとなれば国語力の底上げは必要になるだろうし、その他の科目に
ついても勉強が必要になるからだ。自分で言うのもなんだが、俺はその他の科目については自信がない。一般的な高校生のレベルと
同等なので難しい大学は無理だった。なので改めて考えてみる。俺は国語の中でも特に芥川龍之介が好きだった。なのでもしも
大学に行くのであれば芥川龍之介について専門的に学べるところなんてないかな、と思いパソコンで調べてみることにした。
すると「関東大学」と言う大学に芥川龍之介を専門にしている教授がいるという。もちろん他の人についても勉強は必要になって
くるだろうが、大学に行くからには自分が得意にしていてなおかつ好きなことを勉強したいと思った。その後の就職についても
考慮に入れて・・・なんて人もいるかもしれないが、俺はそこは割り切ることにした。大学は大学で自分の好きな勉強をする、
そのうえで4年間あるのだから進路をゆっくりと決めていけばいいと思った。もし仮に大学在学中に何かなりたい職業があれば
その時点から方向転換すればいいのだ。それに国語はどの業界においても腐るわけはないのだから、と自分に言い聞かせた。
よし、関東大学に行きたいと担任に言ってみようと思い、その日は眠りについた。そして翌日、学校に行って担任に「進路について
相談があるんですけど」と言った。すると「じゃあ放課後に時間を作るから待っててくれ」と言われた。そしてその日は淡々と
過ぎていって放課後になった。担任に声をかけると「よし、今から始めようか」と言われた。なので俺は現状をありのまま伝えた。
進路に悩んでいること、だが大学に行く方向で傾いていること、そして行くのであれば自分の好きなことを勉強したいこと、さらに
昨日調べた「関東大学」のことまで名前に出した。すると担任は「お前の気持ちは十分わかった。だが関東大学は指定校推薦は
ないぞ」と言われた。なので俺は普通に受験をする旨を伝えた。担任は「お前がそう決めたのであれば俺は反対はしない。お前の
学力なら十分に届くレベルだしな」と言ってきた。こうして俺は関東大学を受けることになった。そしてその日の帰り、はると
一緒に帰ることになった。はるは付き合ってからは俺のことを「亮介」と呼び捨てするようになった。「亮介、進路は決めたの?」
とはるに聞かれた。なので担任と話したことを説明した。するとはるは「大学に行くんだね。私は亮介の決めたことならどういう
道でも反対する気はなかったけどね」と言ってきた。そして「関東大学ってどういう大学なんだろう」と言ってスマホで大学を
調べはじめた。そして一通り調べ終わった時点ではるはスマホをしまった。だが、なんとなく元気がない。なので俺は心配になり
「どうしたの?」と聞いた。だがはるは「んーん。なんでもない」としか言わない。なんでもないのに元気を無くすわけないよな、
と思い「わかったよ。俺には言えないことなんだね」と少しすねたような口調で言った。するとはるは「え?どうしたの?」と
聞いてきた。なので俺は「んーん。なんでもない」と言った。意趣返しというやつだ。はるは少し笑った後に「わかったよ。じゃあ
はっきり言うね。あのね、亮介が目指してる関東大学なんだけど、数年前まで女子大だったんだって。今は共学になったけど、
当然女子の割合の方が多いみたいなの。だから亮介が取られちゃうんじゃないかって心配になっちゃって」と言ってきた。
それを聞いて俺は笑ってしまった。そしてはるに「一応言っておくね。俺が生涯かけて愛すると決めた女は一人だけなんだよね。
高校生の分際で何言ってんだって笑われちゃうかもしれないけど・・・もうすぐ俺は成人なんだよ?ちょっと好きだから、なんて
理由で付き合うわけないじゃん」と言った。はるは「え?一人?それってもしかして・・・」と言ってきたので「うん。はるだよ」
と言った。するとはるの目から大粒の涙が流れてきた。俺は混乱してしまい「え?どうしたの?なんか悪いこと言った?あ、俺の
考えが重かった?」と慌てた。はるは涙をぬぐって「そんなわけないじゃない。嬉し涙って知らないの?」と言ってきた。俺は
理解ができず「え?嬉し涙?だって俺は思ってることを言っただけだよ?」と言った。はるはクスクスと笑って「亮介さ、私が
告白した時にもうフェイクはしないって言ったよね」と言うので俺が「そうだよ」と答えると「少しくらいはフェイク
入れたほうがいいかもしれないね。私には少し強すぎるみたい」と言ってきた。なんだよ、と思い「あー。じゃあ大学行ったら
他の子のこと好きになっちゃうかもな」と言ったらはるが笑いながら「部活引退してフェイク下手になったの?」と言ってきた。
なので「なんでだよ」と俺が言うとはるは「だって未来のことなんてわからないんだから、それじゃフェイクじゃないじゃん」と
言ってきたので俺は「俺が愛するのははるだけなんだから、他の人を好きになるかもってこと自体がフェイクなんだよ」と
言った。はるは笑いながら「だから、それが強すぎるんだって」と言ってきた。
悩んでいます」と伝えた。すると担任は「お前の学力なら大学も十分狙えるだろう。というか、指定校推薦も狙えると思うぞ」と
言ってきた。指定校推薦であれば大学受験をする必要はなくなる。だが学校に推薦が来た大学にしか行けないんだよな、と思った。
だが正直に言って大学のことはわからなかった。すごく学力があるわけでもないので超有名大学や国立の大学に行くことは
できないだろう。と言ってどんな大学があるか、と言うのを自分で調べる気にはならなかった。なんせ大学に行くかどうかを
悩んでいるレベルなのだから。とりあえずその場は保留にしようかと思っていると「中井、お前の好きな科目って国語だよな?」と
言われた。なので素直にはいと答えると「文系の大学はたくさんあるが、国語となると絞られてくる。最終的な判断はお前に
任せるが、指定校推薦の締め切りもあるから早めに決めてくれよ」と言われた。そこで家に帰り少し考えてみることにした。
俺は確かに国語が好きだ。現文や古文の先生からは「国語だけなら早稲田や慶応も狙えるかも」なんて言われている。だからと
言って早稲田を目指すぞ!という気にはなれない。有名大学に行くとなれば国語力の底上げは必要になるだろうし、その他の科目に
ついても勉強が必要になるからだ。自分で言うのもなんだが、俺はその他の科目については自信がない。一般的な高校生のレベルと
同等なので難しい大学は無理だった。なので改めて考えてみる。俺は国語の中でも特に芥川龍之介が好きだった。なのでもしも
大学に行くのであれば芥川龍之介について専門的に学べるところなんてないかな、と思いパソコンで調べてみることにした。
すると「関東大学」と言う大学に芥川龍之介を専門にしている教授がいるという。もちろん他の人についても勉強は必要になって
くるだろうが、大学に行くからには自分が得意にしていてなおかつ好きなことを勉強したいと思った。その後の就職についても
考慮に入れて・・・なんて人もいるかもしれないが、俺はそこは割り切ることにした。大学は大学で自分の好きな勉強をする、
そのうえで4年間あるのだから進路をゆっくりと決めていけばいいと思った。もし仮に大学在学中に何かなりたい職業があれば
その時点から方向転換すればいいのだ。それに国語はどの業界においても腐るわけはないのだから、と自分に言い聞かせた。
よし、関東大学に行きたいと担任に言ってみようと思い、その日は眠りについた。そして翌日、学校に行って担任に「進路について
相談があるんですけど」と言った。すると「じゃあ放課後に時間を作るから待っててくれ」と言われた。そしてその日は淡々と
過ぎていって放課後になった。担任に声をかけると「よし、今から始めようか」と言われた。なので俺は現状をありのまま伝えた。
進路に悩んでいること、だが大学に行く方向で傾いていること、そして行くのであれば自分の好きなことを勉強したいこと、さらに
昨日調べた「関東大学」のことまで名前に出した。すると担任は「お前の気持ちは十分わかった。だが関東大学は指定校推薦は
ないぞ」と言われた。なので俺は普通に受験をする旨を伝えた。担任は「お前がそう決めたのであれば俺は反対はしない。お前の
学力なら十分に届くレベルだしな」と言ってきた。こうして俺は関東大学を受けることになった。そしてその日の帰り、はると
一緒に帰ることになった。はるは付き合ってからは俺のことを「亮介」と呼び捨てするようになった。「亮介、進路は決めたの?」
とはるに聞かれた。なので担任と話したことを説明した。するとはるは「大学に行くんだね。私は亮介の決めたことならどういう
道でも反対する気はなかったけどね」と言ってきた。そして「関東大学ってどういう大学なんだろう」と言ってスマホで大学を
調べはじめた。そして一通り調べ終わった時点ではるはスマホをしまった。だが、なんとなく元気がない。なので俺は心配になり
「どうしたの?」と聞いた。だがはるは「んーん。なんでもない」としか言わない。なんでもないのに元気を無くすわけないよな、
と思い「わかったよ。俺には言えないことなんだね」と少しすねたような口調で言った。するとはるは「え?どうしたの?」と
聞いてきた。なので俺は「んーん。なんでもない」と言った。意趣返しというやつだ。はるは少し笑った後に「わかったよ。じゃあ
はっきり言うね。あのね、亮介が目指してる関東大学なんだけど、数年前まで女子大だったんだって。今は共学になったけど、
当然女子の割合の方が多いみたいなの。だから亮介が取られちゃうんじゃないかって心配になっちゃって」と言ってきた。
それを聞いて俺は笑ってしまった。そしてはるに「一応言っておくね。俺が生涯かけて愛すると決めた女は一人だけなんだよね。
高校生の分際で何言ってんだって笑われちゃうかもしれないけど・・・もうすぐ俺は成人なんだよ?ちょっと好きだから、なんて
理由で付き合うわけないじゃん」と言った。はるは「え?一人?それってもしかして・・・」と言ってきたので「うん。はるだよ」
と言った。するとはるの目から大粒の涙が流れてきた。俺は混乱してしまい「え?どうしたの?なんか悪いこと言った?あ、俺の
考えが重かった?」と慌てた。はるは涙をぬぐって「そんなわけないじゃない。嬉し涙って知らないの?」と言ってきた。俺は
理解ができず「え?嬉し涙?だって俺は思ってることを言っただけだよ?」と言った。はるはクスクスと笑って「亮介さ、私が
告白した時にもうフェイクはしないって言ったよね」と言うので俺が「そうだよ」と答えると「少しくらいはフェイク
入れたほうがいいかもしれないね。私には少し強すぎるみたい」と言ってきた。なんだよ、と思い「あー。じゃあ大学行ったら
他の子のこと好きになっちゃうかもな」と言ったらはるが笑いながら「部活引退してフェイク下手になったの?」と言ってきた。
なので「なんでだよ」と俺が言うとはるは「だって未来のことなんてわからないんだから、それじゃフェイクじゃないじゃん」と
言ってきたので俺は「俺が愛するのははるだけなんだから、他の人を好きになるかもってこと自体がフェイクなんだよ」と
言った。はるは笑いながら「だから、それが強すぎるんだって」と言ってきた。