初詣を終えた帰り、神社でおみくじが売っていた。「お、おみくじ売ってるじゃん。今年一年の運勢はどんなもんなのか確認したい
から一緒にやっていこうぜ」とはるに言うとはるは「いいね、やろっか。絶対負けないからね」と言ってきた。おみくじに勝ち負け
とか存在しないだろうと少し笑いながらも二人でおみくじを買った。すぐには見ずにお互い手のひらに隠して、せーので同時に
見ることにした。「せーの!」の掛け声と同時におみくじを見てみた。はるは大吉だった。おお、良かったななんて思ってはるの
顔を見るとはるが驚いた顔をしている。そんなに大吉が珍しいのか?と思って自分のおみくじを見るとそこには「凶」の一文字が。
神社によっては凶を入れないところもあるって聞いたのに珍しいな、なんて思いながらそんなこともあるんだな、と思っていると
はるが「亮介、凶だって。今年一年、大丈夫なのかな?」と聞いてきた。こんなものは運だから、と切り捨ててしまってもよいの
かもしれないがそもそも新年から運がないと言うこと自体があまり良いことではないなと思った。なので「とりあえず、書いてある
ことを一つずつ読んでみよう」と言った。【願い事】に関しては俺のは「叶わず。辛抱せよ」と書いてありはるのには「かない
ます。油断は禁物」と書いてあった。こんな感じで色々と書いてあったがやはり問題となるのは【学問】と【恋愛】だ。どうかと
思い見てみると【学問】は「思わぬ落とし穴あり。精進せよ」と書いてあった。今の方法に問題があるのかと思ったが変なことは
していないし、毎日しっかりとやっているのだから問題はないだろうと思った。落とし穴と言われてもよくわからないので
頑張るしかないな、と思った。そして【恋愛】を見てみた。そこには「動かないほうが良い」と書いてあった。つまりこれから
何もしないほうがいいのか?と思ったが動かないってどうしたらいいんだ?と思い考えているとはるが「あ、亮介のおみくじ、他が
当たってるかはわからないけど恋愛のところだけは当たってそうだね」と言ってきた。どういうことだ?と思いはるに「よく
わからないんだけど、これってどういうことかな?」と聞くとはるは「動かないほうが良いんでしょ?だったら私から動かなければ
いいんじゃないかな」と言ってきた。そういうことなのか?と思ったがおみくじをどうやって読み解くかはこちらの自由なのだから
従っておこう。そもそもはるのそばから動く気はないしね。そしてはるに「はるの方はどうだった?」と聞いてはるのおみくじを
見せてもらった。すると【恋愛】のところに「思いを口にすると吉」と書いてあった。あ、だからさっきのような普段なら言わない
ようなことをわざわざ言ってくれたのか、と思った。そして「おみくじの結果は気にしすぎても良くはないとは思うけど、さっき
みたいに色々言ってくれたほうが嬉しいかも」と伝えるとはるは「じゃあおみくじの言う通りじゃん」と言ってきた。まぁそうか、
と思いはると歩き出した時、はるの手がすごく冷たくなっていた。「はる、手がすごく冷たくなってるけど大丈夫?」と俺が聞くと
「私、冷え性だからさ。いつもは手袋してるけどさっきおみくじ見てたから手袋外しちゃったの。今つけるから」と言って俺の
手を離そうとしてきたのではるに「俺の手はあったかくない?」と言った。はるは「うん、亮介の手はあったかいね。いいな」と
言ってきたので「なんでかわかるかな?」と聞くと「え?冷え性じゃないからじゃないの?」と言ってきたので「違うよ。はるの
手を温めるために俺の手はあったかいんだよ」と言った。はるはにやりと笑って「そんなセリフ、今まで付き合ってきた子に言って
きたんでしょ」と言ってきたので「そこまで節操はないつもりだけどな」と言った。はるは笑って「そういうところが大好きだよ」
と言ってきた。幸せな初詣だったな。