今日は、近くで夏祭りがやっている。お祭りは別に好きではないが嫌いでもない。いくら近くだからと言って友達を誘って行く
ほどのレベルではないな、と言ったところだ。だが、今年ははるがいる。はるは興味があるかな?と思い誘ってみることにした。
はるに「今日暇ならお祭り行かない?家の近くでやってるんだけど」と連絡するとすぐに「行きたい!私お祭り大好き!」と
返事がきた。はるの性格的にお祭りは好きそうだな、なんて思いながらお祭りの場所を伝えて現地で集合することになった。
そこで準備なのだが、当然俺は浴衣なんて持っていない。なので普通の格好で行くことを決めた。後は特に持ち物などはないと
思ったので比較的軽装で用意した。準備は万全なのでお祭りの場所へと向かう。着くと、はるがいた。浴衣姿だった。俺は驚いた。
いくらお祭りが好きだと言っても浴衣なんて持ってるのか?なんて思っているとはるが俺に気づき「亮介!」と呼んできた。
なので「はる、浴衣なんて持ってたんだね」と言うと「女の子は結構浴衣持ってるよ?亮介は持ってないの?」と言ってきたので
「男はあんまり浴衣を持つことはないんだよ。甚平とかあれば良かったけどそれもないし、普通のかっこで来ちゃったよ」と
言うと「そっか、亮介の浴衣姿も見たかったな。いつか見せてね」と言ってきた。浴衣の値段はピンキリだから少し考えて
おかないとな、なんて思った。するとはるが「ちなみにだけど、彼女の浴衣姿はどうかな?」と言ってその場をくるりと回った。
なので俺は「俺、死んだのかと思ったよ」と言った。はるは意味がわからないと言った感じで「え?どういうこと?」と聞いて
きたので「天女って言うんだっけ?死んだ人を迎えに来るとか言うやつね」と言うとはるはまだ理解ができなかったようで「ん?
天女がどうしたの?」と言うので「はるのことを天女と見間違えたってことだよ」と言った。はるは顔を真っ赤にして「もう。
馬鹿なんだから」と言ってきた。なので俺はひざまずいて「天女様、俺と一緒にお祭りを見てまわってもらっていいですか?」と
言うとはるは「あ、私は天女じゃないので。彼氏を待ちますね」と言ってきた。俺は立ち上がり「悪かったよ。じゃ、行こうか」と
言うとはるはクスクス笑いながら「はーい、行こうね」と言った。そしてはると俺は色々と見て回ることにした。お祭りと言えば、
と言うことでまずはくじ引きをやってみることにした。結果はまぁお察しの通りと言った感じだ。その後もうろうろとして売店で
色々買いながら歩いた。腹ごしらえもしなきゃな、と言って焼きそばを買ったりかき氷を買ったり、りんご飴を買ったりして
食べ歩いた。本当は焼き鳥が食べたいな、なんて思ってたけど焼き鳥屋さんが非常に混んでたのでやめた。そして射的を見つけた
ので近づいてみた。はるが「亮介、射的なんてできるの?」と聞いてきたので「俺は元バスケ部だよ?狙ったところに飛ばすの
なんて得意中の得意だよ」と言った。はるは笑いながら「それなら大体のスポーツがそうだけど・・・まぁいいか」と言って
ついてきてくれた。実はなのだが、俺は射的が得意だ。得意と言うのは語弊があるかもしれない。単純に、倒れやすいものを狙って
いるだけなのだ。よくありがちなのが、大きなものを狙うケースだ。だが射的の銃の威力でそんなに大きなものが倒れるわけが
ない。なので軽くて小さいものを狙うのが正しいのだ。小さいものだから狙いにくいだろうと思うかもしれないが、そこは腕前
かもしれないな。射的を始めた。8発撃って、なんとか一つだけ景品をゲットした。小さな箱に入ったお菓子だ。はるが「亮介、
すごーい!本当に射的得意なんだね」と言ってきたのではるにお菓子を渡して「こんなものしかあげられなくてごめんね」と
言った。はるは驚いて「え?なんで?亮介が射的で手に入れたんでしょ?」と言ってきたので「はるのために取ったんだけど
いらない?なら持って帰るけど・・・」と言うと「いるに決まってるじゃん!返してって言っても返さないからね?」と言って
きた。お祭りもこうやって好きな子と来ると悪くないな、なんて思った。また少し歩いていると近くに金魚すくいがあった。
「亮介、金魚すくいだよ。やっていかない?」とはるが言ってきたが「俺、魚触るの苦手なんだよ」と言った。するとはるが
「じゃ、私が挑戦するから見ててくれる?」と言って金魚すくいのお店へ向かった。そして金魚すくいを始めたのだがうまく
いかなかった。そう簡単に取れるものではないよな、なんて思っているとはるが「悔しいなー。もう一回やろうかな」と言うので
「やめときな。また他のことで遊ぼうぜ」と言ってまたうろうろとし始めた。するとそのタイミングで「お待たせしました。空を
ご覧ください」というアナウンスがあった。なんだ?と思っていると花火が上がった。お祭りで花火までするのか?と思っていると
「ささやかですが花火をご用意致しました。お楽しみください」と聞こえてきたのでそんなこともあるか、と思いはると二人で空を
見上げた。花火は綺麗だった。ぼーっと眺めているとはるが「すごいね。綺麗だね」と言ってきたので俺が「うん、あ、えーと」と
言うとはるが「どうせお前の方が綺麗だとか言うんでしょ?言わなくていいからね?」と言ってきた。釘を刺されてしまったな。