俺、中井亮介は高校三年生だ。勉強はそれなりにやっているし、学校も真面目に通っている。
そんな学校で今日少し特別なことがあった。
俺はバスケ部に所属している。三年間、バスケがうまくなるよう努力してきたつもりだ。
部には真面目に参加していたし、後輩の面倒もたくさん見てきた。今日はそんなバスケ部から引退する日だ。
引退の日だからといって、部活に手を抜くわけにはいかない。後輩たちの部活はこれからも続くわけだし、
それに先輩がだらしない姿を見せてしまっては示しがつかないからだ。
そんなこんなで部活の時間が終わりに近づいてきた。すると、二年生で次期部長の木村から全体に声がかかった。
「みんな!今日で三年の先輩たちは卒業だ!先輩たち全員に一言もらい、こちらからも一言ずつ返そう!」
そんな大げさなことしなくていいのに、と思ったが後輩たちが全員大きな声で「はい!」と言っている。乗り気なのかよ。
まぁそんなことがあるなら、と思いとりあえず部員全員で体育館の中に集まる。
そして現部長が「何か後輩たちが俺らに向かって一言ずつくれるらしいじゃないの」とニヤニヤしながら言っている。
そこから一人ひとりに対するメッセージの言葉が送られはじめた。
はじから順に、やれここが上手かった、だのこういう指導が良かった、だのと言われている。
まぁ引退するときにわざわざけなすような言葉は用意しないよな、なんて思って待っていると俺の番がやってきた。
後輩である内藤が口を開く。
「中井さん、初心者同様の私たちに対して熱心に指導をしてくれて、本当にありがとうございました!」
部活なんだからみんなできた方が楽しいに決まってるだろうと思って指導してきたことが実を結んだらしい。
指導について言われるのは嬉しいな、と思っていると今度は女の後輩のはるが口を開く。
「先輩のフェイク、すごく上手かったです!敵チームもよく騙されていましたし、見てるこっちまで騙されました!」
フェイクとはまぁバスケ用語なのだが、要は何かのフリをするってことである。シュートするフリをしてパス、や
パスするフリをしてシュート、などまぁあげていけばキリがない。確かに俺はフェイクを得意なものとしていたが、
後輩にそこまで見られているなんて・・・と感動した。そして今度は俺が後輩に一言送る番になる。
せっかく色々と考えていたのだが、後輩からの言葉が嬉しすぎて言葉が飛んでしまった。かろうじて出てきたのが
「みんなうまくなってきてるから、仲良くやりましょう。後輩の指導も忘れずにね。」という
誰にでも言えそうな教科書のような言葉だけだった。やってしまった・・・と思って茫然としていたのだが
後輩たちは俺の一言にすごく喜んでくれている。こんなんでいいのかよ・・・と思いつつ、部が終わった。
そして帰ろうとしていると内藤がこちらにやってくる。何か言い残したことでもあるのか?と思い見ていると
「中井さん。今日で引退なんですから、何か記念品いただけませんか?そうですね・・・バッシュとかください!」と言ってきた。
バッシュってつまりバスケットシューズのことだけど・・・これをあげるって言ってもなぁと思い
「バッシュなんてもらってもサイズも違うし、もし履けたとしても良いもんじゃないだろ。リストバンドでどうだ?」と返した。
すると内藤はパッと明るい表情になり「ぜひお願いします!」と言ってきた。
まぁリストバンドくらいなら・・・と思って内藤にリストバンドを渡す。内藤はそれを受け取ると、嬉しそうにいなくなった。
おいおい、他の部員からは何かもらわないのかよ、と思いながらもまぁいいかと思い帰路につく。
帰っている途中、後ろから「中井さん!」と俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。振り向くと後輩の高村はるがいた。
何かな?と思い足を止めて待っていると高村が近づいてくる。そして俺に向かって言った。
「こうして部活で会えるのも最後だと思うと、すごく悲しいです。あの!なので、これからは部活以外でも会ってくれませんか?」
同じ学校に通ってるんだから年齢は違うとはいえ会うことはあるだろうなぁと思い了承の返事をしようとすると高村が続けて
「これからは先輩後輩の関係性じゃ嫌なんです!」と言った。
俺は最初この言葉の意味を理解しかねた。俺は三年生で高村は二年生なんだから先輩と後輩だろう。
いくらなんでも年齢だけは変えることはできないよなぁなんて思ってからかい口調で口を開こうとすると高村が続けて
「先輩!私の彼氏になってくれませんか?」と言ってきた。
これには俺も驚いた。というか混乱した。え?彼氏になってくれ?つまり付き合えってこと?なんで俺?などと思いながら
高村を見つめると高村はこれを言うのにすごく覚悟が必要だったのだろう、目をつぶってじっとしている。
告白をされて悪い気はしない。というか高村のことは後輩として大事に思っていたから嬉しいくらいだ。
そこで了承の返事を出そうとしたのだが、ふと思いついたことがあったので試してみることにした。
「ごめんね。高村は部活の後輩としてしか見てなかったから・・・。」と言った。
すると高村は目を開いて俺のことを見る。その目には涙が溢れてきていた。そして高村は
「そう・・・ですか。じゃあ仕方ないですね・・・。」と言ってきたので俺は返した。
「だからこれからは一人の女性として見ていくことにするから・・・俺の彼女になってくれませんか?はる」
高村は心底驚いたというような顔をしてこっちを見てきた。そしてすごく大きくうなづいてきた。
そして満面の笑みで俺のことを見ているので、俺は高村のことを抱きしめた。そして一言
「断るフリをするっていうフェイクをしてみました。これからは名前で呼ばせてね、はる」と言った。
俺に抱きしめられながら高村、いや、はるは「そんなの許すの私だけですからね。私にももうしないでくださいね」と言ってきた。
なので「もうしないよ。今日で部活は引退だからね。」と返した。こうして、俺とはるは付き合うことになった。
さて、部活を引退したとしても高校生活は続いていく。これからは進路のことを考えなければならない。
大学に行くか、就職するか・・・。まぁ成績は悪くないし、親も認めてくれているので大学に行くことになるだろう。
自分の中ではまだまだ整理がつかないな、と思いながら帰路についた。
そんな学校で今日少し特別なことがあった。
俺はバスケ部に所属している。三年間、バスケがうまくなるよう努力してきたつもりだ。
部には真面目に参加していたし、後輩の面倒もたくさん見てきた。今日はそんなバスケ部から引退する日だ。
引退の日だからといって、部活に手を抜くわけにはいかない。後輩たちの部活はこれからも続くわけだし、
それに先輩がだらしない姿を見せてしまっては示しがつかないからだ。
そんなこんなで部活の時間が終わりに近づいてきた。すると、二年生で次期部長の木村から全体に声がかかった。
「みんな!今日で三年の先輩たちは卒業だ!先輩たち全員に一言もらい、こちらからも一言ずつ返そう!」
そんな大げさなことしなくていいのに、と思ったが後輩たちが全員大きな声で「はい!」と言っている。乗り気なのかよ。
まぁそんなことがあるなら、と思いとりあえず部員全員で体育館の中に集まる。
そして現部長が「何か後輩たちが俺らに向かって一言ずつくれるらしいじゃないの」とニヤニヤしながら言っている。
そこから一人ひとりに対するメッセージの言葉が送られはじめた。
はじから順に、やれここが上手かった、だのこういう指導が良かった、だのと言われている。
まぁ引退するときにわざわざけなすような言葉は用意しないよな、なんて思って待っていると俺の番がやってきた。
後輩である内藤が口を開く。
「中井さん、初心者同様の私たちに対して熱心に指導をしてくれて、本当にありがとうございました!」
部活なんだからみんなできた方が楽しいに決まってるだろうと思って指導してきたことが実を結んだらしい。
指導について言われるのは嬉しいな、と思っていると今度は女の後輩のはるが口を開く。
「先輩のフェイク、すごく上手かったです!敵チームもよく騙されていましたし、見てるこっちまで騙されました!」
フェイクとはまぁバスケ用語なのだが、要は何かのフリをするってことである。シュートするフリをしてパス、や
パスするフリをしてシュート、などまぁあげていけばキリがない。確かに俺はフェイクを得意なものとしていたが、
後輩にそこまで見られているなんて・・・と感動した。そして今度は俺が後輩に一言送る番になる。
せっかく色々と考えていたのだが、後輩からの言葉が嬉しすぎて言葉が飛んでしまった。かろうじて出てきたのが
「みんなうまくなってきてるから、仲良くやりましょう。後輩の指導も忘れずにね。」という
誰にでも言えそうな教科書のような言葉だけだった。やってしまった・・・と思って茫然としていたのだが
後輩たちは俺の一言にすごく喜んでくれている。こんなんでいいのかよ・・・と思いつつ、部が終わった。
そして帰ろうとしていると内藤がこちらにやってくる。何か言い残したことでもあるのか?と思い見ていると
「中井さん。今日で引退なんですから、何か記念品いただけませんか?そうですね・・・バッシュとかください!」と言ってきた。
バッシュってつまりバスケットシューズのことだけど・・・これをあげるって言ってもなぁと思い
「バッシュなんてもらってもサイズも違うし、もし履けたとしても良いもんじゃないだろ。リストバンドでどうだ?」と返した。
すると内藤はパッと明るい表情になり「ぜひお願いします!」と言ってきた。
まぁリストバンドくらいなら・・・と思って内藤にリストバンドを渡す。内藤はそれを受け取ると、嬉しそうにいなくなった。
おいおい、他の部員からは何かもらわないのかよ、と思いながらもまぁいいかと思い帰路につく。
帰っている途中、後ろから「中井さん!」と俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。振り向くと後輩の高村はるがいた。
何かな?と思い足を止めて待っていると高村が近づいてくる。そして俺に向かって言った。
「こうして部活で会えるのも最後だと思うと、すごく悲しいです。あの!なので、これからは部活以外でも会ってくれませんか?」
同じ学校に通ってるんだから年齢は違うとはいえ会うことはあるだろうなぁと思い了承の返事をしようとすると高村が続けて
「これからは先輩後輩の関係性じゃ嫌なんです!」と言った。
俺は最初この言葉の意味を理解しかねた。俺は三年生で高村は二年生なんだから先輩と後輩だろう。
いくらなんでも年齢だけは変えることはできないよなぁなんて思ってからかい口調で口を開こうとすると高村が続けて
「先輩!私の彼氏になってくれませんか?」と言ってきた。
これには俺も驚いた。というか混乱した。え?彼氏になってくれ?つまり付き合えってこと?なんで俺?などと思いながら
高村を見つめると高村はこれを言うのにすごく覚悟が必要だったのだろう、目をつぶってじっとしている。
告白をされて悪い気はしない。というか高村のことは後輩として大事に思っていたから嬉しいくらいだ。
そこで了承の返事を出そうとしたのだが、ふと思いついたことがあったので試してみることにした。
「ごめんね。高村は部活の後輩としてしか見てなかったから・・・。」と言った。
すると高村は目を開いて俺のことを見る。その目には涙が溢れてきていた。そして高村は
「そう・・・ですか。じゃあ仕方ないですね・・・。」と言ってきたので俺は返した。
「だからこれからは一人の女性として見ていくことにするから・・・俺の彼女になってくれませんか?はる」
高村は心底驚いたというような顔をしてこっちを見てきた。そしてすごく大きくうなづいてきた。
そして満面の笑みで俺のことを見ているので、俺は高村のことを抱きしめた。そして一言
「断るフリをするっていうフェイクをしてみました。これからは名前で呼ばせてね、はる」と言った。
俺に抱きしめられながら高村、いや、はるは「そんなの許すの私だけですからね。私にももうしないでくださいね」と言ってきた。
なので「もうしないよ。今日で部活は引退だからね。」と返した。こうして、俺とはるは付き合うことになった。
さて、部活を引退したとしても高校生活は続いていく。これからは進路のことを考えなければならない。
大学に行くか、就職するか・・・。まぁ成績は悪くないし、親も認めてくれているので大学に行くことになるだろう。
自分の中ではまだまだ整理がつかないな、と思いながら帰路についた。