そして、大学生最後の年。ついに告白することを決意した。出会ってから四年間、お互い友達以上の感情を抱いているのはわかるのに、言葉がないせいでずるずると微妙な関係が続いている。卒業をして離れても、会いたいの一言で顔を合わせられる関係になっておきたい。神主を継ぐ気はないといえば残念そうな顔をするかもしれないが、外資系の商社に就職が決まった俺は、アイツを一生食わせていくくらいの覚悟があった。
全休が被った日に、ふたりで出かけようと綾を誘った。寄る店も目星をつけて洗車も済ませ、準備は万端。
そう。出かける数分前までは。
家を出ようとすると、突然、部屋に居座っていた地縛霊が隣に住んでいた女性に乗り移り、家に押しかけてきたのだ。
「やだ、そんなめかしこんで!デートなんでしょう…!行かせないわ!」
「ふざけるな!離せ!」
人間に乗り移られている手前、手荒に振り払うことが出来なかった。祓い屋から遠ざかっていたため、除霊の札も持っていない。