「……見ました…。
透明のようなんですけど……うっすらと…羽のような輪郭が…」

「透明なら今までも背中にあった事があるんですかね? 僕を育ててくれている両親はそれを見た事あるんですかね?
あるわけないですね。見た事があるなら、僕を捨てているはずです。僕を産んだ両親みたいに」

「狗…」

「あのバス、僕達が乗るバスじゃないですか? 走りましょう。
……洸ちゃん?」

走り出そうとする狗岾…さんの足が止まりました。

「何で……僕を…抱きしめてるんですか?」

私が狗岾…さんをバックハグしたからです。

「そんな顔してたら……抱きしめたくなりますよ……」

しっかり顔を見てないけど…分かります……。


あなたが泣いている事は…分かります……。