「洸ちゃん……。
本当に……直接会わなくて良いんですか？」

電話の間、ただ側に居てくれた狗岾…さんが口を開いた。

「良いんです。
これで、良いんです」

私も直接会ったら……家に戻りたくなって。

「目を………合わせてない…です…よね？」

「合わせてないですよ」

「じゃあ……。何で……私を抱き寄せたんですか？」

私は今、頭に狗岾…さんの右手、右腕に狗岾…さんの左手が置かれていて、私の左耳は狗岾…さんの心臓の音を聞かされています。

「そんな顔してたら……抱きしめたくなりますよ」

私の右腕に置かれていた狗岾…さんの左手が、私の右頬に流れていたものを拭う。

「狗岾…さん…」

私の目線が上がった瞬間。

狗岾…さんに抱きしめられました。

強く、強く……。