「こちらのお部屋になります」

 翌日、やはりスーツ姿でやってきた河童に、千歳は『メゾンいざよい』の401号室を案内した。

「へぇ、いまのぼくの部屋より広いね」
「夜はこの通り静かに過ごせますし、昼間も静かな町です。しいていえば公園で遊ぶ子供たちの声が、聞こえるくらいでしょうか」
「ああ、それは大丈夫。ぼく子供大好きなんだ」

 よかった。公園や学校の校庭で遊ぶ子供たちの声でさえ、うるさいと感じる人もいるから。
 河童がお風呂場をのぞきこみ、うんうんとうなずいている。気に入ってもらえただろうか。

「部屋はいいね。だけど水辺はあるの?」
「そちらもこれからご案内いたします」

 千歳はちょっとドキドキしながらも、にっこり微笑んで河童を外へ誘った。