その夜、女はなかなか眠れなかった。

こんなにふかふかの寝台に寝るのは初めてだったし、おまけに部屋の隅にはインテリアのように吊るされた金の鳥籠に、白い鳩まで飼われていた。

そして何より、あれほど優しい主人は初めてだったからだ。
「どうしよう……あんないい人」
女は首に掛けた小袋をぎゅって握りしめる。