ベルベットの騎士

まるで嵐のように嘲笑が法廷を揺るがす。貴族も平民も声を合わせてウィルの姿を馬鹿にし、笑い続けた。

顔を真っ赤にして必死に抗議し続けたウィルは、両脇に立った廷吏に頭を押さえつけられ、無理矢理に被告人席に着席させられてしまう。

反撃できない抵抗し得ない、無力でちっぽけな少年。間違っても自分が仕返しされる心配がない、安心して虐められる人間。

ウィルは今、衆人環視の下、フランツ王国の娯楽の生け贄にされようとしていた。