「以上で陳述を終わります」
フィナンが青ざめた顔で今まさに立ち上がりかけたその時になって、ようやく検察官の訴状の読み上げが終了した。
「静粛に！今から被告人の入廷を命じる！」
裁判官がゆっくりと木槌を３回打ち鳴らした。

すると、驚いた事にあれほど騒がしかった法廷が、水を打ったように静まり返ったのだった。いよいよめったに見られない、珍しい出し物の幕が上がる。観客たちは目を輝かせ、固唾を飲んで見守った。

フィナンから見て正面、彼女が連行された通路とは反対側の扉に軍服姿の廷吏が歩み寄った。廷吏によって扉が通路とは反対の、内側へ開かれる。

緊張のために、フィナンは口の中がカラカラに渇いて胸まで苦しい。