法廷に一歩足を踏み入れた途端、ワアアアーンという激しい耳鳴りに襲われた。

眩しさに徐々に目が慣れてくると、自分は闘技場のような場所のど真ん中に来たのだとわかった。耳鳴りだと思ったものは大勢の観客の歓声だったからだ。

天井を見上げると、眩い光はドーム型のステンドグラスから降り注いでいるものだった。さらに周囲を見回すと正面に黒い法衣を着た裁判官がいて、こちらを睨んでいた。

その裁判官席の遥か頭上にはバルコニーの付いた貴賓席があり、深紅のカーテンに覆われていた。