ベルベットの騎士

そして彼女は迷いのない足取りで窓際まで行くと、窓を開け放った。

純白の鳩は赤い瞳を瞬かせながら彼女を眺めていた。まるで本当に自分に服従しているのか、いつもフィナンシェの本心を窺おうとするあの侍女のように。
「負けない……鞭打ちなんか少しも怖くないわ……」
震え出しそうな両肩を自分で抱きしめるようにしてフィナンは鳥籠に近づいた。

そして慎重に両手で鳩を取り出すと、窓から勢いよく空に解き放った。