ベルベットの騎士

不思議に思って、フィナンは周りをキョロキョロ見回し、首を回して後ろも確認してみる。

しかし、やはりウィルはいない。
「ウィル様、どちらにいらっしゃるのですか?」
狐につままれたような気持ちでフィナンが叫んだ。

すると驚いた事に、彼女の目の前にチョコンと立っていたフエゴが、上機嫌でウィルの声でしゃべり出したのだ。
「やったね!お家に入ろう!」
「まあ!フエゴ!!」
驚いたフィナンがフエゴをまじまじと見つめると、彼はますます得意げに話しだした。
「腹黒い大人が触れると癇癪起こして物凄く、つつくんだ」
「……凄いのね、ウィル様と声も話し方もそっくりよ!フエゴは物まね鳥だったのね!奥様もオウムを飼っていらっしゃるけど、あなたほどそっくりの声で話す鳥は初めてよ!」