「嫌な感じ」
「は?」
「いやぁ、いい感じの家って言ったんだよ」
少年はなに食わぬ顔でごまかすと今度は世話役に尋ねた。
「ここにはおじさん達も泊まるの?」
「いえ、侍女は都の伯爵邸で女奴隷の指導がありますし、私は通いで都から必要な品を館にお持ち致します。コックも近郷からの通いですから、夜は若様とこの女だけです」
男は侍女と共に訳知り顔で頷く。しかしこれがかえって少年の癇に触った。

彼の足元の鳥籠を運ぼうとした世話役に少年はつっけんどんに言葉を放つ。
「僕の友達に気安く触らないでよ。コイツ、腹黒い大人が触れると癇癪起こして物凄く、つつくんだ」
籠へ伸ばした男の手がピタリと止まる。