ベルベットの騎士

なぜなら、この男の命令は侍女から直接受けたものとは、違っていたからだ。
「何だその顔は?」
「あの、ですが侍女様は、国に害があると判断した時には私の一存と事を為せと仰っいました。あのお方は別に何も」
フィナンは懸命に世話役に自分が受けた命令の内容を説明しようとした。

まずは、不審な持ち物でも言動でもいいので、スパイという証拠を得る事。それができなくともフランツ王国に害のある人物だと思った場合のみ暗殺する事。

あくまでも暗殺は、現場にいるフィナンシェの判断による、最終手段なのだ。

だがこの男は、そうは思っていなかった。