ベルベットの騎士

菓子の欠片を食べ終えたフエゴが、じぃっとそんな彼女を見上げていた。きっと餌をねだっているのだろうと、フィナンは自分の皿に残った菓子を1つまみだけフエゴに与えた。

そしてバターケーキの柔らかな甘さの残る指先で、気づかれぬようにそっと、涙を拭った。