本当に自分も食べていいのだろうか?耳元でヒュンと鞭の唸る音がした気がして、思わず身震いする。

だが昨日から1欠片のパンも口にしていない女はとうとう空腹に負けた。

躊躇いながらも席に着くと見よう見まねで小さなフォークを持つ。

そしてホカホカと湯気の立つ、菜の花色の菓子を慎重に切る。ふんわりとした柔らかな感触に拍子抜けしながら少年をそっと見上げる。

しかし肝心の彼は上機嫌で口をモグモグ動かしているだけで彼女を見てはいなかった。

試されたりからかわれているんじゃないんだ……。

女はやっと安心して、菓子を口に運んだ。