「お皿とフォークを出してね」
ウィルをぼんやり眺めていた女は急いで立ち上がると、台所のテーブルに小皿とフォークを1組用意した。
「もう!また遠慮して!」
ぶかぶかのミトンで大きな角皿を持ってぷりぷりしている主人を、そのままにしておく訳にもいかない。女はおずおずと自分の分も出すと、どうしていいか判らず椅子の側に立っていた。

ウィルはナイフで切り分けるようにして、金型から丁寧に焼き菓子を皿に並べる。
「本当は冷ましてから食べるんだけど、もう待てないや!さあ、食べよ」
ウィルはニッコリ笑うとデザートフォークで焼き菓子を切り始めた。