その無邪気な笑顔に釣られて、女は初めて自分から彼に手伝いを申し出た。
「あの、私が型に入れます」
「うん!火傷に気をつけてね!」
「はい」
少年が自分を心配してくれているようで、彼女は嬉しいと素直に感じた。

だから、この方の期待に応える。

女は慎重にミルク鍋から金型に、香り立つ液体を注ぐ。

溢さないようにゆっくりと。

今のこの感情が溢れ出して流れ落ちてしまわないように、丁寧に……。

「この温度だと15分くらいで出来上がるよ」
少年は出来た型をいくつもオープンの中に入れると楽しそうに頷いた。