ベルベットの騎士

「皆を助けたかった。麻の騎士は陽気でハンサムな青年でね。それに対して絹の騎士は、細かい所まで妻に干渉するような神経質な男だった。そんな夫に悩んでいた彼の妻を、いつも親身になって励ましていたよ」
ウィルも右腕でフィナンをぐっと抱きしめる。
「君は麻の騎士の奥方に似ている……。最期まで夫を信じ、子らを守ろうとした賢夫人、オルレッド。物静かだが、芯の強い女性だったよ……」
2人と1羽は、いつまでも暖かく抱き合っていた。そうしてしばらく抱き合っていたが、彼らの足元の床から、微かな振動が伝わってきた。

それは最初は小さく、そして徐々にビリビリと彼らと彼らのいる建物全体を振動させ始めた。