今日、呼び出されたのは、先生が顧問を務める園芸部の花壇の手入れのお手伝い。

今は、部員が一人もおらず、先生だけでは大変だからという理由で、季節ごとに花の手入れや植え替えをクラスメイトで補っている。

「あーあ、やらかしたな優等生」

「だって、私水瀬くんとあったことないんですよ?しかも髪も染めてるし……無理ですよ」

今度もし会えることがあったらちゃんと謝ろう、と決めてちょっとだけ開き直る。

「でも、なんであんな髪の色明るいんですか?雰囲気は不良っぽくなかったですし」

どちらかと言うと、大人しそうな印象だったし、真面目にしていれば勉強だってできそうな感じがしたのに。

「まぁ、人間なんか生きてたらいろんなことがあるってことだよ」

「へぇ…?」

そんなふうに誤魔化した先生は、それ以降、水瀬くんについて、話題に出すことなく、適当な世間話で会話を繋いだ。

これ以上は、教えてくれないという意味だろう。

…また、会えるかな。

会えたら、嬉しいななんて、少し浮かれたような気持ちになりながら、本来の目的を思い出し、それから2時間、みっちり作業を行ったのだった。