2年生になって最初のテストが返ってきた。
……ひどい。これはひどい。
「平均点以下だった生徒はもれなく追試だから、放課後残るように」
落ち込む私に、先生の言葉がさらに追い討ちをかけてくる。
「授業中寝てばかりいるからでしょ」
まったくもって正論を美咲から突きつけられ、何も言えない私。
「英語だけはトップクラスなのにね。光里はほんと、極端すぎなんだから」
「あはは……」
6歳までアメリカにいた私は、辛うじて英語だけは得意だった。だけどそれ以外の教科は目も当てられない有様だ。
受験のときは、苦手なところを陽太に教えてもらった。陽太と同じ高校に行きたいという気持ちがあったから、苦手な勉強も頑張れた。
だけど、今は……。
余計なことまで思い出して憂鬱になる私の肩を、美咲がポンポンと軽く叩く。
「まあまあ、とりあえず今回は追試は数学だけでしょ。今から頑張って勉強すれば大丈夫だって」
そう言って、休憩時間を使って私の苦手なところを集中的に教えてくれた。
「美咲、教えるの上手いね。今の説明、すごくわかりやすかったよ!」
ずっと理解できなかったことが、おかげで絡まった糸が解けるようにすっと府に落ちた。
「ほんと?嬉しいな。私、先生になりたいんだ」
「そうなの?」
「うん、最近そう思いはじめたんだけどね。赤坂先生みたいな、厳しいけど優しい先生になりたいなって」
「ええ?赤坂先生が優しい?」
あまりにも優しいという言葉が似合わないので、聞き間違いかと思った。
「うん。厳しいんだけど、生徒のことをよく見てて、頑張ったらちゃんと褒めてくれる。尊敬してるんだ」
照れながら話す美咲を、私は感心しながら見ていた。
私はただあの先生のことを、「怖い」としか思わなかったから。
「じゃ、次これやってみよう」
「ええと、これはなんだっけ……?」
将来のことーー
今目の前の問題につまづいてばかりいる私には、そんな先のことまで考える余裕はなかった。
……ひどい。これはひどい。
「平均点以下だった生徒はもれなく追試だから、放課後残るように」
落ち込む私に、先生の言葉がさらに追い討ちをかけてくる。
「授業中寝てばかりいるからでしょ」
まったくもって正論を美咲から突きつけられ、何も言えない私。
「英語だけはトップクラスなのにね。光里はほんと、極端すぎなんだから」
「あはは……」
6歳までアメリカにいた私は、辛うじて英語だけは得意だった。だけどそれ以外の教科は目も当てられない有様だ。
受験のときは、苦手なところを陽太に教えてもらった。陽太と同じ高校に行きたいという気持ちがあったから、苦手な勉強も頑張れた。
だけど、今は……。
余計なことまで思い出して憂鬱になる私の肩を、美咲がポンポンと軽く叩く。
「まあまあ、とりあえず今回は追試は数学だけでしょ。今から頑張って勉強すれば大丈夫だって」
そう言って、休憩時間を使って私の苦手なところを集中的に教えてくれた。
「美咲、教えるの上手いね。今の説明、すごくわかりやすかったよ!」
ずっと理解できなかったことが、おかげで絡まった糸が解けるようにすっと府に落ちた。
「ほんと?嬉しいな。私、先生になりたいんだ」
「そうなの?」
「うん、最近そう思いはじめたんだけどね。赤坂先生みたいな、厳しいけど優しい先生になりたいなって」
「ええ?赤坂先生が優しい?」
あまりにも優しいという言葉が似合わないので、聞き間違いかと思った。
「うん。厳しいんだけど、生徒のことをよく見てて、頑張ったらちゃんと褒めてくれる。尊敬してるんだ」
照れながら話す美咲を、私は感心しながら見ていた。
私はただあの先生のことを、「怖い」としか思わなかったから。
「じゃ、次これやってみよう」
「ええと、これはなんだっけ……?」
将来のことーー
今目の前の問題につまづいてばかりいる私には、そんな先のことまで考える余裕はなかった。