それからの俺の日常はガラリと変わった。
モノクロでつまらなかった日々がカラフルに色付き、俺は毎日美希と過ごせる事に喜び、感謝した。
もうこれ以上のものは何もいらない。
心からそう思えた。

家から出ることができないと言った美希に、それでもいい、ただ側にいてくれるだけでいいと俺は言った。
俺は毎日キッチリ定時に仕事を終わらせると、美希の待つ家へと帰った。

一年前、俺達は結婚して初めて一緒に暮らす予定でいた。
その果たせなかった未来を今、俺は美希と一緒に叶えていた。

「ただいま、美希」
「おかえりなさい、京ちゃん」

笑顔で俺を迎えてくれる美希。
そう、この笑顔さえあれば俺は幸せなんだ。

俺は顔を(ほこ)ばせると笑顔の美希を抱きしめた。