卒業式は厳かに始まった。

 国歌、校歌の斉唱、まずは来賓の挨拶があって、続いて証書授与では総代の安達茉莉江が代表で証書を受け取る。

 その後、送辞を瀬良翠が読み上げた。

 答辞は澪がすることになった。

 これには経緯がある。

「実は私、成績が一番じゃないから答辞は断わったの。そしたら」

 一位の生徒も断わってしまい、茉莉江は澪しか頼む相手がいなくなってしまったのである。

「ごめんね土壇場で」

「茉莉江ちゃんのおかげでいろいろ活動出来たから、恩返しをするなら今かなって」

 澪は茉莉江の恩義に報いるつもりであった。

 その澪が演壇に上がると、

「答辞」

 その後、異常が起きた。