校舎に着くと、在校生組のメンバーが待っていた。
「美波先輩…!」
唯も雪穂も、まさか会えると思ってなかった美波に会っただけで泣きじゃくっていた。
とりわけ号泣していたのは意外にも優海で、
「ひっ…ひっ…うぅぅ…」
過呼吸になりかけたほどである。
「あんた、そんなに泣かなくったって…まるで私が死んだみたいじゃない」
美波のジョークも、このときばかりは優海には通じなかった。
「なんで?」
「あのあと、通信制に移ったからさぁ」
そういえばライラック女学院には通信教育の制度がある。
「茉莉江と先生のおかげで、オーディション受けまくれてさ。でもやっぱり厳しいね、受からなかった」
笑いながら美波は、
「ライブ終わったら顛末は話すね。それより、楽譜ある?」
千波が予備の楽譜を渡した。
「ほとんど初見だけど、なんとかやってみる」
いつもの美波であった。
「やっぱり美波がいないと、アイドル部はピースが欠けたみたいで」
ののかは笑顔を取り戻していた。