卒業式前夜。
メンバー全員とあやめ、みな穂は優海の家に集まると、深夜まで騒いで語り合い、布団を並べて遅くなるまで再び語り合った。
一年生で同好会を作るときに澪がののかを誘ったこと、ののかが迷っていると入学前の藤子がたしなめたこと、美波がいじめから澪をかばってくれたこと、藤子が入学してすぐ同好会に来てくれたこと──。
三年間の思い出は尽きなかったらしい。
翌朝。
在校生組は先に通学し、一時間ばかり遅れて澪とののかが出発した。
いつものように手稲駅で降りて、坂を登り始めたときである。
「ののか!」
ののかが声のする側を見ると、美波の姿がある。
「美波…」
澪はそれだけで泣いていた。
「卒業式に遅刻なんて出来ないしさ」
美波は変わっていなかった。
「ほら、行くよ!」
相変わらず元気印の美波に伴われて、校舎を目指した。