せやけど、と清正は、
「まぁ外部マネージャーがつく部活ってなかなかないな」
一応女子マネか、と言うとメンバー全員がドッとウケた。
「それで、新年度からグッズ出ることなったで」
「…グッズ!?」
一同ひっくり返りそうになった。
「とりあえずタオルとキーホルダーやけどな」
藤子は知っていたらしく、
「やっぱり先に作っちゃえば、こっちのもんですもんね」
「スゴいな…」
ののかが小さくつぶやいた。
去年は三人で、琴似のショッピングモールのイートインでフライドポテトをかじりながら、あれこれ夢を語っていたはずである。
「どんどん奇跡が起きてるね」
ののかの言葉にかぶせるように、
「奇跡は起きるんじゃなくて、起こせるように努力をするものなんだよ」
珍しく千波が言った。
「よくバイオリンとかチェロとかの人に話を聞くんだけど、奇跡みたいなことは普段から、血を流すぐらい努力してる人しか辿り着けないんだって」
アイドルの世界とはまた違った何かを千波は知っているのかも知れない。