年が明けた二日、朝早く清正のLINEにメッセージが来た。

「挨拶回りで部員集まるんで、先生も来てください」

 場所は優海の家、とある。

「生徒の家行くなんて久々やな」

 前任校で担任を任されたとき、家庭訪問をして以来である。

 アパートを出ると、ナビゲーションにデータを打ち込み、愛車のネイキッドを転がして、十分ばかりで着いた。

 呼鈴を鳴らすと、

「あ、先生」

 新年おめでとうございます、と出てきたのは、華やかなフリルのついたワンピース姿の優海であった。

 中へ通されると、

「新年おめでとうございまーす!」

 見るとメンバーがそれぞれ可愛らしく着飾っている。

 しばらく顔を見なかった澪やののかもいる。

「先生のスーツ…」

 すみれが指をさした。

 ヘリンボーンのチャコールグレーのジャケットに、アイボリーのベストとスラックスというアンサンブルの着こなしである。

「やるときゃやるじゃん、普段冴えないのに」

 ネクタイもワイドノットというフォーマルな結び目にしてある。

「…ほっといてんか」

 ののかのツッコミに清正はたじろいだ。