唯と藤子が修学旅行から戻ると、
「そろそろ新しい部長を決めなきゃならないんだけど…誰がいい?」
本来なら九月に決めなければならなかったのだが、美波の件があって先延ばしにしていたのである。
すみれが手を挙げた。
「私は藤子ちゃんかな。しっかりしてるし、頭もいいし、知名度もあるし」
確かに。
修学旅行のときには、ティーンズファッション誌の密着取材がついて、
「奇跡のメガネっ娘」
と呼ばれ、今やメガネ女子ブームの旗手として、ワンピースや普通にコーディネートされた服を着たグラビアの仕事も来ている。
普段の制服や私服のワンピースでは目立たないのだが、藤子は小柄な割にスタイルも良い。
「ああいう隠れ巨乳みたいのが男子は好きらしいよ」
「男子ってだいたい可愛くてスタイル良かったら、多少性格悪くても引っかかるもんね…」
雪穂が言うと「それ自分のことでしょ」と優海がちゃちゃを入れ、それに対して、
「私、なんにも悪いことなんかしてないもん!」
少しむくれてみせる。
「天然なんだか計算なんだか分からないよね」
美波が言いそうなことを、ののかが言った。