私は、と澪は、

「東京の大学に行こうかなって」

 アイドルに関係した会社を起こしたい、という目標はののかも知っている。

「マネジメントは大事だもんね」

 例の藤子の件で、マネジメントの重要性はひしひしと身にしみて分かっている。

「プロは優海とかすみれみたいに意識の強い子でないと難しいかも知れないし、デビューしても売れるかどうか分からないし」

 だったら堅実に事業家を目指したほうがいいだろう…というのが澪の見立てであった。

「藤子ちゃんはどうしたいのかなぁ?」

「あの子は昔から本が好きだから、図書館の司書か小説家だって言ってた」

「文章書くの上手いもんね」

 藤子がポスターのキャッチコピーをつけるのも上手いことを思い出した。

 ののかもリラ祭のキャッチコピーは、

「桜庭ののか、咲いてみせようじゃないの。」

 というものを、考えてもらった。

 澪は「一応、部長です!」というコピーで、これはよく優海が澪を立てるときに使う口癖からきた。

「藤子のは変わってたなぁ」

 あの例のハードカバーを読んでいる姿のポスターである。

「あれに『普段からこんな感じです』なんて、あの子しか言わないわ」

 あれは目立つわ、とののかは言った。