唯は中等部から進学してきた経歴から、附属の事情にも明るい。
「リラ祭で入りたいって言った子が何人かいて、連絡先は交換してあるし、そのうち見学させようかなって。だって六年生抜けたら五人になる訳だし」
附属から来た生徒だけは、高等部の三年を六年生と呼ぶ。
「唯は抜け目ないなぁ」
「誰の友達だと思ってんの」
唯は藤子にだけは気をおかない。
それだけに言い合いに発展すると容赦がなく、はた目で聞いている側がビビるのであるが、
「でも幼稚園からだから、いつもこんな調子だし」
などとも言う。
肝胆相照らす間柄でなければ、こうはゆかない。
とりあえず。
「あとは附属からちゃんと入試で入れるかどうかだよね…」
藤子にすれば心配で仕方ない話だらけなのだが、
「大丈夫、なるようになるから」
どこでどうしたらそんな根拠に至るのか、それだけは長年の付き合いでも分からなかった。