週が明けた。

「関口さん、ちょっと話があるんだけど…」

 隣のクラスにいた茉莉江が、廊下で澪を見つけて追い掛けてきた。

「美波がバレーボール出てたの知ってる?」

「…えっ?!」

 澪は信じられなかったのか、思わず素っ頓狂な声をあげた。

「うちのクラスの子で見たのがいるんだ」

「それは…」

 重大なルール違反ではないか。

「で、すみれちゃんに訊いたら、うちのクラスメイトで彼女を呼んだ子がいたらしくて。調べたらバレーボールの助っ人にどうも呼んだらしくて…」

 澪は絶望的な感情に襲われた。

 しかしながら、美波の事情を聴取しないことには、処断どころか憎悪すらままならない。

 どうやらすでに、清正の耳には届いているらしく、

「今日にも美波を呼び出すみたい」

 茉莉江は伝えた。

 同時に深く溜息をついてから、

「私がもう少し、ちゃんとしていれば良かった」

 別に茉莉江の責任ではないはずなのだが、どうも罪悪感だけは深く感じていたらしい。

「それは私も同じだよ…」

 澪は、底知れぬ程の暗い目をした。

 ともあれ。

 矢も盾もたまらず、澪は職員室へ急いだ。