期末テストも終わり、夏休みが始まると、メンバーと顧問の清正はバスで小樽の水族館から目鼻の先にあった、宿泊施設での合宿に向かった。

 午前中は宿題を片付け、ランチのあとダンスをレッスン、夜はミーティング…という毎日が始まり、八人のアイドル娘たちは、ときに息抜きで近くにあった祝津の海岸で遊んだり、バスで小樽の中心部へ出て買い物をしたり…といった、至ってありきたりな女子高校生らしい時間も過ごした。

 夕方になると、見晴らしの良い鰊御殿の駐車場に集まって夕焼けを眺めたりするのだが、七色に変わった夕陽の空に、白い羽を桃色に染めた鳩の群れが、悠揚迫らず積丹岬を目指して羽ばたいてゆく。

 脚力をつけるために日和山の岬の灯台を目指しダッシュをしたときなどは、例の捻挫で少し足を悪くした藤子がタイムキーパーとなって順位をつけたりした。

 ダンスの出来る唯とテニス部出身の美波、専門的なトレーニングの経験がある優海とすみれは早かったが、澪とののか、雪穂は体力に差があるのか、どうもスピードが上がらない。

 すると、

「しっかり腕を振って、腿を上げるようにすると早くなるよ」

 スポーツの知識がある美波のアドバイスを受けて走ると、タイムが少しだけ速くなった。