ね、と何かを変えるべく、澪が口を開いた。

「先生に決めてもらおうよ。それなら誰も異論はないはずだよね?」

 逃げ道ではないが、何かしらの案ぐらいのものは出てくるかも知れない、といういわば一縷ののぞみである。

 職員室にいた清正のもとへ全員で行くと、

「名前は、あなたたちで決めなはれ」

 権力者が頭ごなしに決めるものではない、というようなことらしい。

「君らのほうが、ワイより活動長いんやし」

 なるほど清正らしい答弁ではあろう。

「じゃあヒントみたいのだけでも…」

「ワイはアイドルは分からへんで。せやけど、頑張っとるのは分かっとるし、せやからワイみたいな素人がが口挟むんも、どないなもんなんかなと」

 案外アイドル部でも、通っているなら良いように思っているようなことを語り聞かせた。

「まぁみんなで決めぇや。仲間は、信じるもんやからな」

 期待はずれな答えだったらしく、すごすご帰っていく後ろ姿ではあり、清正も声を投げたが、聞いたかは分からなかった。