そこで。
「グループ名をどうするか」
という新しい議題も持ち上がった。
一応、
「リラっ娘。」
という仮の名前は同好会時代からあるにはあったのだが、
「ライラック女学院アイドル部」
という名称で、ネットでは「ライ女」という略称がついて、半ば定着しつつあった。
「みんな、どうする?」
澪が部室で切り出すと、
「私はリラっ娘のままがいいなぁ」
不満げに言ったのは、意外なことに美波であった。
「だって、三人しかいなかった頃から私は知ってるけど、みんな頑張ってたのを私は見てたし…」
澪が深くうなずいた。
リラっ娘のときには、タスキをかけて大通公園のイベントに参加したことはあったが、コアなアイドル研究をしているであろうオッサンや、下から撮ろうとするカメラ小僧ぐらいで、あんまり良いイメージがなかった。
しかし、美波はそうしたときでも差し入れを持ってきたりもしていた。
愛着があったのかも分からない。
「でも、最初の段階でリラっ娘ですって言っても誰も振り向かなかったよね」
ののかがぼそっと言った。
みな、それっきり黙ったまま、重苦しい空気だけが支配した。