土曜日にメガネが出来たので受け取りに行き、その足で手稲駅から坂を登って校舎まで来た。

 だが。

 メガネを外す前に美波に見つかってしまった。

「藤子ちゃん、メガネ…」

「うん」

 仕方なく藤子は、美波にだけ打ち明けた。

「なんかさ、藤子ちゃんメガネ美人になったね」

「…えっ?」

 美波は頭をなでた。

「それ、すごい可愛い」

「そう…?」

 今度メガネで出たらきっとモテるよ、と美波は言うのだが、

「そうかなぁ…?」

 藤子は半信半疑なままであった。

 鏡を見ると、まるで漫画に出てくる冴えない少女そのままなようにしか、藤子自身には見えない。

「どこが可愛いのかなぁ?」

 しばらく鏡を眺めていたが、答えは見つからないままであった。