このような経緯でコントの稽古は始まったのだが、ここで予想外であったのが、雪穂の演技力の高さであった。

 本当に足が痺れているように、これまた上手く立ち回るのである。

「雪穂ちゃんに、こんなセンスがあったなんて」

 そこで。

 配役を変えてみた。

 いちばん派手に最後のオチで転げ回るポジションにおいてみたところ、滅多に大笑いしない優海が、笑い転げてしまったのである。

「シレッとマジな顔でするから、余計に笑えるんだよね」

 それをコントの基本だと知るのは、はるかな先である。

「これはイケそうね」

 思わず澪がつぶやいた。

 様々な配役替えをして落ち着いたのが、最初の焼香でドタバタするのが澪、次に匍匐前進するのが美波、最後に祭壇を壊すのが雪穂…という役回りで決まった。

「とりあえずやってみよう」

 通しのリハーサルを撮影して清正に見せると、

「関西人のワイがウケたんやから安堵せぇ」

 とのことであった。

「関西人が見てウケけるなら、きっと大丈夫だよ」

 笑いに厳しいというイメージは、本物であったようである。